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「貯金」礼賛ブームのまやかし…「楽しい人生」喪失の愚かさ、節約せずお金が貯まる法則

  • 2017年 05月20日 06時12分
  • 提供元:Business Journal
「Thinkstock」より

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「Thinkstock」より

 雑誌などで、よく「20代で2000万円貯めた人の習慣」「年収300万円でも10年で1000万円貯める方法」などといった特集が組まれることがあり、それなりに人気のようです。しかし、ただ貯金額が多いというのが、なぜそんなに注目を集めるのでしょうか。


 特に今の社会には「貯金が少ないのは悪だ」という価値観があるようです。「節約貯金が大切だ」「貯金がない人はダメな人間だ」「30代になって貯金が100万円はないと結婚できない」という強迫観念めいた風潮すらあります。


 もちろん貯金は少ないより多いほうが望ましいですし、単なる浪費は問題でしょう。しかし、そんな価値観にとらわれると、特に理由もなく貯金そのものが目的になってしまいます。それでは、ただの思考停止です。


 たとえば、野菜を食べることは大切ですが、それはなんのためかというと、そもそも健康維持が目的のはず。にもかかわらず健康に良いからといって野菜ばかりを食べていれば栄養バランスが崩れるようなもの。つまり「その行為の本来の目的は何か」に立ち返って考えることが大切です。


 改めていうまでもなく、お金は交換の道具にすぎません。では、今励んでいる節約貯金は、いったい何と交換するためのものなのか。


 ひとつには「安心」があると思います。しかし安心を得ることと引き換えに、楽しい経験をすることなく人生を終了するというリスクについて、もっと敏感になっておきたいものです。


●節約貯金は自分の人生をシュリンクさせる


 これは私がよく紹介する話ですが、日本人は平均して約3000万円の貯金を残して死ぬそうです。これは何を意味しているかというと、3000万円の貯蓄と引き換えに、それを使ったならば得られたはずの、さまざまな経験をすることなくこの世を去っているということ。


 たとえば豪華客船で世界一周旅行をするのにかかるお金は300~500万円ほど。自分のカフェバーをオープンさせるのだって、1000万円あれば可能です。


 つまり、自分の生き方を変える、あるいは可能性を広げる経験が十分にできるほどの金額を残し、人生を楽しむことを先送りしたまま生涯を終えていく人が、とても多いということです。これは非常にもったいない、と感じないでしょうか。


 あるいは、ガソリン代がもったいないからといってマイカーに乗るのを控える。電気代がもったいないからといってエアコンを使うのを控える。高かった毛皮のコートが汚れるのがいやだからとクローゼットの中にしまっておく。


 確かにそういう判断もあるかもしれません。しかし冷静に考えてみると、乗らない車、使わないエアコン、着ないコートの存在価値とはなんでしょうか。


 それに、お金を貯めようと節約貯金をすることは、今使えるお金を少なくする行為です。つまりそれは、結果として自分ができることの幅や深さをわざわざスケールダウンさせることと同じ。


「お金がもったいないから本を買わない」「お金がもったいないから勉強会に行かない」「お金がもったいないから旅行にも行かない」という生活を続ければ、確かにお金は貯まる。しかし、その結果として、いったいどれほど魅力的な人物となるか。自分が生きた証しを後世に残せる人材となれるのか。たくさんのお金を持っていれば「お金持ち」なのかもしれませんが、ただお金を貯めこんでいるだけであれば、単なる「貯金持ち」にすぎません。


 もちろん「なんでもかんでも使い切ってしまえばいい」などと極端なことを言っているわけではなく、たとえば家を買う、車を買う、子どもの進学など目的がある場合は、その分のお金を確保しておく必要があります。あるいは転職やリストラの可能性に備え、当面の生活費としての貯金は必要です。つまり、ある程度の貯蓄は前述のとおり「保険」としての役割があります。


 しかし、特に予定も目的もなく金額に根拠もなく、ただせっせとお金を貯めるだけだとしたら、それはもったいない。なぜなら、お金を使えばもっと人生が豊かに、そして楽しくなるからです。同時に、自分の可能性を広げてくれる効果があります。


●節約貯金をしなくても自然にお金が貯まる


 私の例で恐縮ですが、私は必ず毎年ひとつは新しい挑戦をして、毎年ひとつは新しい商品・サービスをリリースする、という目標を掲げています。その過程において、新たな経験が過去の経験と組み合わさり、書籍やコラム、他のビジネスなどのネタを生む原動力になっています。


 たとえば、私がマレーシアで不動産を買った経験を出版社の編集者に話したところ、「それを本にしませんか」ということで『日本脱出』(あさ出版)を出版したところ、ベストセラーとなりました。さらにアメリカやカンボジアでも投資を始め、その内容も書籍となりました。そしてこれらをセミナーや講演で話したり、顧客を現地の不動産会社に紹介したりというビジネスにも発展しました。


 ほかにも、自分でFXや商品先物取引をしていると、その経験が蓄積されてノウハウとなり、本になる。生活コストの削減にゴリゴリと取り組んだらネタが増え、それがコラムになる。保険による節税も、確定拠出年金や小規模企業共済による老後資金の貯蓄も、クレジットカード・電子マネーカードの活用法も、太陽光発電も、健康法も、子どもの教育も、賃貸併用住宅も、お金と時間をかけて自分でやってみたからこそ、オリジナルのコンテンツが蓄積され、書籍としてお金をいただける商品になった。その結果、講演や雑誌の取材といった依頼も増えて収入源が多様化し、さまざまなパーティーやイベントに呼ばれるようになって、人との出会いも広がりました。


 こうして現在、私の家庭の収入源は約15種類まで増え、個人法人合わせた世帯年収は5,000万円を超えました。経費はほとんどかからず、どれかが減ってもどれかが支えてくれますから、一般的には不安定とされる自営業でも、リスクの分散と収入の安定化につながっています。


「お前は本を出せるからだろう。ほかの人には参考にならない」という反論があるかもしれません。しかしこれは、私がビジネス書作家としての立場を持っているからできることだ、なんていう短絡的な話ではありません。私の周りでも同じような人はたくさんいます。


 たとえば子どもの留学体験をブログにつづったところ、質問や問い合わせがたくさん来て、留学斡旋ビジネスを始めた専業主婦。子どものおもちゃを買っては、それで遊んでいる子どもの動画をYouTubeにアップし続けたところ、おもちゃメーカーから協賛の話が来て広告収入となったイクメンパパ。自分でログハウスを建てた経験を活かしてログハウス勉強会を立ち上げ、コンサルティングビジネスを始めた人、最新ITガジェットを使いこなし、それらの効率的な使用方法を電子書籍で販売している人などなど、経験を積めば積むほどノウハウが蓄積され、お金に換える道が開けてきます。


 子どもの留学にはお金がかかります。子どもにおもちゃを買い与えることにもお金がかかる。ログハウスを建てるにも、ガジェットを買うにもお金がかかる。しかしだからこそ、彼らの新しい収入源につながり、彼らの人生を変えた。その結果、どんどんお金が流れ込んでくるようになれば、節約貯金をしなくても、自然にお金が貯まる。お金を使うことを恐れなくなる、という循環ができます。


●「アリとキリギリス」


「アリとキリギリス」というイソップ寓話は、多くの人が一度は耳にしたことがあると思います。要約すると、夏の間アリたちは冬の食料を蓄えるために働き続け、キリギリスはバイオリンを弾き、歌を歌って過ごす。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、最後にアリたちに乞い、食べ物を分けてもらおうとするが、アリは「夏には歌っていたんだから、冬には踊ったらどうだい?」と食べ物を分けることを拒否し、キリギリスは飢え死にしてしまったという話です。


 そして一般的には「コツコツ働くことが大事」「いざというときに備えて貯蓄しよう」という教訓が語られます。


 しかし、この話には第二幕があります。それは、「お金がなくなったキリギリスは、コンサートを開いて歌やバイオリンを披露した。するとアリたちが食べ物を持ってコンサートに集まってきた」という話。つまり、キリギリスは歌とバイオリンの技術を持っていて、それは商品価値を持っていたのです。そうやって自分の才能を磨けば、どんな状況でも稼げる力をつけることができるし、どんな時代でも乗り越えていけるという自信につながります。


 つまり、自己投資こそもっとも高いパフォーマンスをもたらしてくれる行為。だから私は、不動産や外貨などへの投資をしつつも、「自己投資こそ最強の投資対象である」と考えています。


 そんな「自分の才能を開花させる方法」について解説したのが、最新刊『33歳で資産3億つくった僕が43歳であえて貯金ゼロにした理由』(日本経済新聞出版社)です。興味を持たれた方は、ぜひ手にとっていただけると幸いです。
(文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役)



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