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ローカルファッションにエシカルな視点をプラスした「メイド・イン・ミャンマー」

  • 2017年 07月14日 21時00分
  • 提供元:AFPBB News
ヤンゴンのブティックでポーズをとる「Virya Couture」オーナー兼デザイナーのピョン・テッ・テッ・チョー。ミャンマーが大量縫製工場として台頭してきたことによって、若手デザイナーたちは、先祖伝来の仕立て技術を保護し労働搾取型の環境を改善するために、国産ファッションを取り入れている(2017年7月5日撮影)©AFP=時事

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ヤンゴンのブティックでポーズをとる「Virya Couture」オーナー兼デザイナーのピョン・テッ・テッ・チョー。ミャンマーが大量縫製工場として台頭してきたことによって、若手デザイナーたちは、先祖伝来の仕立て技術を保護し労働搾取型の環境を改善するために、国産ファッションを取り入れている(2017年7月5日撮影)©AFP=時事

【AFP=時事】大量生産ファッションの製造中心拠点として頭角を現しているミャンマーでは、若きデザイナーたちが国産ファッションを取り入れている。先祖伝来の仕立て技術を保護し、労働搾取型の工場を生まれ変わらせるためだ。

 ピョン・テッ・テッ・チョー(Pyone Thet Thet Kyaw)はヤンゴン(Yangon)中心部のブティックで、自らがデザインしたAラインスカートやドレス、トップスなどを作り上げている。使っている伝統的な柄や生地の多くは少数民族から取り入れたものだ。彼女はミャンマー人女性たちがサロンのようなぴったりしたスカートと共によくまとう襟足の高いタイトなトップスに、プリーツドレスを付けていた。

「私たちミャンマー人は、自分たちの民族衣装や伝統的な服をとても大切にする」と彼女はミシンをかけながらAFPの取材に答えた。「伝統的な服を現代的にアレンジする際は、派手になりすぎないか、あるいはモダンになりすぎないか、気を付けなくてはならない」

 ミャンマーは伝統的な服装をとても誇りにしている。今やどこでも同じ西洋ファッションが東南アジア全域に流入しているが、ミャンマーではかつての軍事政権によってその流入が阻まれていた。軍事政権は50年もの間、外国の影響を遮断し、すべての公式メディアでは着用すべき服を厳しく制限していた。デザイナーのマー・ポン(Ma Pont)は、1990年代に軍の管轄下のテレビ局のために衣装を制作していたが、肩や脇を少しでも見せることは許されなかったという。「私たちは全く自由ではなかった」と彼女は語る。

 当時、ファッションには特に政治的な意味合いが強かった。多くの女性たちが民主化運動を率いた野党のリーダー、アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)の独特のスタイルを真似たデザインを密かに仕立て屋に依頼していた。20年近く続いた軟禁から彼女が解放された日に着ていた紫の服は、すぐにヤンゴンのストリートで流行したと報道された。


■移り変わるファッションテイスト

 民主主義を象徴するアウン・サン・スー・チーは昨年、ミャンマーで数十年ぶりの文民政権における事実上のリーダーとなった。そして今も、彼女が公の場でまとうエレガントな伝統服は、広く称賛されている。だが、今も伝統衣装、特に男女共に着用するロンジ—が好まれる一方で、ファッションは変化を見せ始めている。ヤンゴン市内では成長しつつある中流階級をターゲットにしたショッピングモールが増え続ける中、周辺部の工場は若く安い労働力にひきつけられた海外ブランドの服を大量生産している。

 この産業の裏側を、まさに目の当たりにしたブティックデザイナーのピョン・テッ・テッ・チョー。10代の頃、ヤンゴン郊外にある縫製工場で何か月も懸命に働いたが、報酬は今の金額にして週に1.46ドル(約170円)だったという。

 この経験を通じて彼女は、自分のブティックをオープンして若い女性たちに服作りを教え、彼女らが自分と同じような境遇で苦しまないようにしようと決心した。

「さまざまなことが見えるようになった。たった10分でランチを済ませたり、トイレに行きたいときに行けなかったりしたのは、生産ラインが混乱するからだった」と彼女は言う。「ファストファッションや非道徳的なファッションが続けば、苦しむのは私たちだ」


■ファッションの奴隷たちの現実

 貧しいが台頭し始めたミャンマーは、大量縫製工場の新たな拠点としてめきめきと頭角を現しており、「H&M」や「プライマーク(Primark)」といった巨大ファッション企業のためにできるだけ早く安価な服を作り上げている。公式データによると昨年度、輸出高は2倍以上増加し、16億5000万ドル(約1870億円)に上った。また10月に米国の制裁措置が解除されたため、さらに急成長が見込まれる。

 ファッション業界は急激な経済成長を支えている一方で、アジアの最低賃金と言われ、法的にほとんど保護されていない労働者たちへは利益は浸透していないという批判もある。

 多国籍企業の監視機関「SOMO」による最新レポートは、「ミャンマーの縫製産業では労働者の権利を犯している重大なリスクがあり、緊急に対応する必要がある」と警告している。

 他のミャンマー人デザイナーではモー・ホム(Mo Hom)が、何世紀にもわたるミャンマーの伝統的な生地産業を、タイや中国からの安価な輸入服の流入から救おうと活動中だ。ヤンゴンにある彼女のブティックは、チン(Chin)州やシャン(Shan)州から調達したカラフルなコットンやシルクの生地で溢れている。それらは伝統的な木製の織機で何か月もかけて手織りされたものだ。多くは緑茶やイチゴなどの天然素材で絶妙な色合いに染められ、伝統的な民族柄やシルエットと組み合わせられている。

 2012年にミャンマーに戻るまでニューヨークでデザイナーとして修業し活躍していたホムは「地方の製造工場はもはや市場需要がなく、今や瀕死状態だ」と語る。「ほとんどの工場は操業停止している」
【翻訳編集】AFPBB News

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