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無印良品、密かに大量の中国人「囲い込み」一大計画始動か

  • 2017年 07月18日 06時12分
  • 提供元:Business Journal
香港の無印良品店舗(「Wikipedia」より)

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香港の無印良品店舗(「Wikipedia」より)

 良品計画は7月5日、2019年春に「無印良品」の世界旗艦店を東京・銀座にオープンすると発表した。商業とホテルの複合ビルを建設し、そのうち6階の一部から10階までは、日本初となるホテル「MUJI HOTEL」を開業する計画だ。


 複合ビルの建設は、読売新聞東京本社が事業主で、三井不動産が開発し、テナントに良品計画と小田急グループのUDSが入ることが明らかになっている。MUJI HOTELでは、無印良品の家具や小物を揃える。良品計画がコンセプトの提供と内装デザインを監修し、UDSが設計と運営を行う。


 発表翌日の6日、良品計画の株価は大幅に反落した。5日の終値は2万8740円だったが、6日は2万7160円で5.5%下げた。5日に発表された18年2月期の第1四半期(3~5月期)連結決算は、売上高が前年同期比11%増の971億円、営業利益は同3.9%増の118億円で増収増益となったが、投資家の期待が高い東アジア事業で営業利益が同13億円の減益になったことが売りにつながったとみられる。


 また、MUJI HOTELの開業について市場がネガティブに捉えたことも株価の下落につながったといえそうだ。インターネット上では「銀座でのホテル経営は金がかかりすぎる」「ノウハウはあるのか」といった声が飛び交っており、否定的な意見が多いようだ。


 だが、筆者はMUJI HOTELの開業をポジティブに捉えている。訪日外国人を取り込むことができれば、それなりに成功すると考えられ、むしろ大きなビジネスチャンスではないだろうか。


 MUJI HOTELが成功するか否かを予想する上で重要なこととして、まず同ホテルが想定しているメインターゲット層を知りたい。日本人なのか外国人なのか、ビジネスパーソンなのか観光客なのか、どういった人をメインターゲット層にしているのだろうか。


 そこで、良品計画・広報室に問い合わせたところ、「世界中の人に発信し、多くの人に泊まってもらいたいが、特定の国や地域、特定の人物像を決めていない」との回答を得た。


 すなわち、日本人にも外国人にも、ビジネスパーソンにも観光客にも泊まってもらいたいということだ。はぐらされた感があるが、仮に想定するターゲット層があるとしても公表はできないのだろう。こうなると推測の域を出ないが、「世界」という言葉から訪日外国人観光客を強く意識しているように筆者には感じられた。


●訪日中国人客の獲得がカギか


 政府は日本を観光立国にするべく、東京オリンピックを開催する20年までに、訪日外国人旅行者数を4000万人にするとの計画を発表している。日本政府観光局によると、16年の訪日外客数は前年比21.8%増の約2400万人だ。観光庁によると、訪日外国人の16年の平均泊数は10泊で、観光・レジャーを目的とした人に限っても6泊もしている。宿泊への支出は1人あたり約4万2000円で、総額の推計は1兆円を超える。今後はさらに拡大することが見込まれるため、外国人観光客向けの宿泊ビジネスは有望といえるだろう。


 特に有望なのは、言わずもがな中国からの訪日客だ。16年は637万人で、全体の26.5%を占めトップだ。宿泊支出の推計は約2800億円で27.7%を占める。中国人による爆買いが叫ばれて久しいが、宿泊面においても多額の支出を行っている実態が浮き彫りとなっている。


 無印良品は訪日外国人を取り込むために免税対応店舗を拡大している。17年2月末時点で71店ある。免税対応店は好調で、17年2月期の免税売上高は45億9500万円で構成比は8.5%、都市部や空港近くの店舗では10%以上になるという。免税客数は37万人を超え、構成比は2%だ。客単価は1万2000円を超える。2年目での数値としては上出来ではないだろうか。そして、訪日外国人に期待してもいいと思える数値だろう。


 一方、無印良品は中国で出店が加速している。17年2月末の店舗数は200店で前年同期から40店純増した。日本国内の418店に次ぐ規模で、18年2月末では30店純増の230店を計画している。中国で急速に店舗数が増えている状況だ。17年2月期の中国事業の売上高は549億円で前年比10.5%増と大きく成長している。


 無印良品は日本でももちろん人気があるが、中国でも大変な人気があるブランドだ。無印良品特有の「シンプルで高品質」という価値が中国でも認められている。ブランド品の偽物が横行し、経済成長に伴って豪華さがもてはやされる風潮があるなか、無印良品の価値が際立つことになっている。こうしたこともあり、無印良品は多く中国人に認められていったと考えられる。いずれにしても、無印良品は中国人の間でポジティブなイメージが広がっている状況だ。


 そうしたなか、良品計画は中国の深センと北京でホテル開業を計画している。今年度内にオープンさせたいという。無印良品の「シンプルで高品質」という価値が中国で開業するホテルでも応用できると踏んでのことだろう。日本と同じく、良品計画がコンセプトの提供と内装デザインを監修し、運営は深センでは現地企業の深業集団が、北京ではUDSが行う。


 以上の通り、良品計画は中国に造詣が深い企業だ。中国で開業するホテルで中国人の好みなどを把握し、その情報を日本で開業するMUJI HOTELに適用することができる。そうすれば、増加している中国からの訪日客を取り込める見込みは高まる。


 筆者は、MUJI HOTELが開業予定の銀座をよく訪れるが、銀座は多くの中国人で溢れかえっている。道を歩くと中国語がよく飛び交っている。そのため、銀座でのホテル開業は中国人を中心とした訪日客を取り込む狙いがあると考えられる。また、開業予定地の近くにある商業施設のマロニエゲート銀座にも中国人客は多い。訪日中国人が銀座にある大型商業施設に足を運んでいることがわかる。MUJI HOTELとマロニエゲート銀座は、共に読売新聞東京本社が事業主であるため、マロニエゲート銀座からの送客も期待できる。


 中国において、日本を訪れる中国人にMUJI HOTELを紹介することもできるだろう。200ある店舗網を駆使してPRすることができる。また、中国の旅行代理店などと連携して日本のMUJI HOTELを利用する旅行商品を開発し、販売することができる。中国で人気のある無印良品のホテルということであれば、旅行代理店も話に乗ってくる可能性は高い。こうしたことにより、中国からMUJI HOTELへ多くの訪日中国人を送り込むことができるだろう。


 もちろん、中国以外の国からの訪日客や日本国内の旅行者も期待できる。現状、日本のホテル需給は逼迫している状況で、これは今後しばらく続くことが予想されるため、宿泊ビジネスは有望だ。良品計画のホテル経営は、投資家の評判があまり良くないようだが、こうした理由により筆者は成功するのではないかと考えている。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)



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