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「島根にパソコンない」──夏に検索増える理由 県は「盛り上がるきっかけになれば」

  • 2017年 08月11日 08時00分
  • 提供元:ITmedia NEWS
「Googleトレンド」による「島根 パソコン」の検索動向結果。2013年8月にはこの話題がテレビで取り上げられたため、他と比べて大きな差がある。夏以外に検索が増えることも

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「Googleトレンド」による「島根 パソコン」の検索動向結果。2013年8月にはこの話題がテレビで取り上げられたため、他と比べて大きな差がある。夏以外に検索が増えることも

 「島根にパソコンなんてあるわけない」──これは、例年夏頃になるとネットで検索頻度が上がるフレーズだ。Googleの検索キーワード動向を確認できる「Googleトレンド」によれば、2004年以降、7月から10月にかけて「島根・パソコン」に関連するキーワードの検索回数が増えていることが分かる。しかし、ITが浸透した現代において島根県にPCがないとは考えにくい。これは一体どういうことか。


●元ネタはアニメのせりふ


 この一文が世に生まれたのは「時をかける少女」「サマーウォーズ」の細田守監督が手掛けた劇場版アニメ「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」(2000年)がきっかけだ。


 デジモンシリーズは、仮想の“電脳”世界と現実世界を舞台に、少年少女と“デジモン”と呼ばれるモンスターが繰り広げる冒険活劇。“ぼくらのウォーゲーム!”は劇場版の第2作目にあたる。


 島根が登場するきっかけは次の通りだ。劇中で、ネットワーク上に出現した敵モンスターを倒すために、ネット接続されたPCが必要となる場面が出てくる。しかし、東京都内に住む主人公たちがその時に滞在していたのは、島根県にある祖父母の家。


 電脳世界に接続するため、ネットに通じるPCを探して島根の片田舎を走り回るが、なかなか見つからない。そこで「島根にパソコンなんてあるわけないじゃん!」とぼやくシーンがあるのだ。他にも「おばあちゃんちだから、パソコンなんて無いよ」「無いよなぁ……島根だから」「島根にだってパソコンくらいあるだろ!」──など、島根に絡めたせりふが多数登場する。


 映画が公開された17年前は、まだ「Windows XP」も登場していない時代だ。総務省が公開した情報通信白書(平成26年版)によれば、映画を製作していた1999年当時のPC普及率(世帯)は日本全体で37.7%と、島根県どころか全国でも普及していない。PCを持っている家庭のほうが珍しい時代だったのだ。ちなみに2015年末時点では76.8%となっている(出典:平成28年度版 情報通信白書)。


 その後、“島根にパソコンがない”というキャッチーなフレーズに面白さが見いだされたのか、PCが普及して以降、ネット上でよく使われる言葉としてネットスラング化した。


 特に、テレビアニメ「デジモンアドベンチャー」の第1話で主人公たちが初めて“デジモン”に出会ったのが8月1日という設定だ。ファンの間では記念日のようになっており、「島根にパソコンなんかあるわけないじゃん」というフレーズが“デジモンあるある”として夏によく言及される──といった具合だ。


 SNS上で、今もなお話題にしている人がいる状況だ。


 このネットスラングをパロディーとして作品に取り入れられる機会も増えてきた。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を題材とした、2017年2月公開のアニメ映画「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」では、登場人物の1人が部活動の合宿で向かった島根県の帰りに「島根にパソコンなんてない〜」と話すシーンがある。


 同作の伊藤智彦監督は、後に電撃オンラインのインタビューで「元ネタはデジモンで、リスペクトで入れた」と語っている。


 このように、ネットスラングとしてかなり定着しているようす。しかし「島根にパソコンない」というのは、島根の人たちにとって不名誉なことではないだろうか。当事者としてどのようなスタンスなのか、島根県に聞いてみた。


●「島根県にPC、あります」


 こちらの“ゆる〜い”質問に答えてくれたのは、子供のころに“ぼくらのウォーゲーム!”を映画館で見たという島根県広報室の布野さん。


 ネットスラングの存在について県は把握しているか、という質問に対しては「特にコメントは行わない」としながらも、「島根県にPCがないということは、もちろんありません。しかし、こうしたことで話題に上り、島根に興味を持っていただいたり、盛り上がったりするきっかけになればと思います」(布野さん)と話してくれた。


 布野さんの言うように、島根県にはPCがないどころか、国内最大規模のノートPC生産拠点(島根富士通)がある。富士通のノートPCはここで生産しているという。


 さらに、マストドンでも使われているオープンソースのプログラミング言語「Ruby」の開発者である、まつもとゆきひろさんが松江市在住であることから、“Ruby発祥の地”として小中校生向けのプログラミング教室、学生向けのグループ開発合宿、プログラミング競技会、ITを活用する高齢者向けの表彰制度、IT企業の積極的な誘致など、県が率先してIT産業の振興を行っている。


 「島根にパソコンなんてあるわけない」で有名な島根県は、実は国内外にPCを数多く出荷し、世界的に有名なプログラミング言語を生み出し、ITの振興も行う“IT先進県”だった。

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