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ゼロから家電量販トップへ…ヤマダ電機会長が初激白、知られざる成功の裏側と構造改革の全貌

  • 2017年 09月14日 05時45分
  • 提供元:Business Journal
ヤマダ電機の山田昇会長

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ヤマダ電機の山田昇会長

 今、ヤマダ電機が大きな変貌を遂げている。


 6月には、生活雑貨や家具、リフォームに特化した初めての家電と親和性の高い“非家電店”である「インテリアリフォームYAMADA 前橋店」をオープンした。ヤマダ電機は、この新業態を全国に拡大させる。また、子会社を通じて不動産や金融にも参入するヤマダ電機が目指すのは、「住まいに関する家1軒まるごとのサービス」の提供だ。


 9月12日付記事『「ニトリのモノマネではない」…ヤマダ電機会長、「住まいに関する家1軒まるごとのサービス」を語る』では、創業者で代表取締役会長兼取締役会議長の山田昇氏に話を聞き、新業態や構造改革の成果などを中心にお伝えした。


 後編では、経営哲学や今後のビジョンなどについて、さらに山田氏の話をお伝えする。


●船井電機と電撃提携の舞台裏


――ヤマダ電機の大きな転換点は、どこにあったと考えますか。


山田昇氏(以下、山田) 大店法(大規模小売店舗法)の廃止ですね。2000年の廃止により、ロードサイド型で約1000坪単位の大型店を次々と出店することができました。郊外は土地の価格が安い半面、メリットは大きく、戦略的にはタイミングが大事です。他社さんは「地主の方を裏切ることができない」ということで、法改正前に出店したケースもあったようです。


 そして、家電量販店としていち早くパソコンに力を入れたことです。大阪の日本橋や東京の秋葉原でパソコンの販売動向が好調だということで、店舗展開を積極的に行いました。パソコン関連の販売はそれまでの家電と比較して手間がかかるため、アメリカのパソコン販売店「コンプUSA」に視察に行ってノウハウを学びました。


 パソコンで思い出しますが、カメラ系家電量販店は、今もカメラ専業で事業を行っていたら、生き残るのは難しかったでしょう。カメラからオーディオ、パソコン、白物家電と幅を広げてポイント制を採用したのが、成功の秘訣だと思います。


 メーカーとの距離が近く、いわば運命共同体のような量販店にとっては、今の時代は厳しいかもしれません。ヤマダ電機はロードサイドから都心を攻める手法を採りました。常に先行して事業を進める戦略が成功の道だと考えています。


――ユニクロのビジネスモデルであるSPA(製造小売り)については、検討されていますか。


山田 電機業界におけるSPAはリスクが高すぎます。メーカーが小売りを、小売りがメーカーを持つというのは、いずれも失敗する可能性が高いです。私は日本ビクター(現JVCケンウッド)にいたので、メーカーと小売りの文化の相違はよく理解しています。


 たとえば、マーケティングについて小売りは徹底して導入しています。今回、船井電機と提携を行い、4Kから2K まで5シリーズ全11モデルのテレビをヤマダ電機で独占販売しました。


 船井電機が良い製品を製作し、ヤマダ電機の販売網を活用すれば、売れるに決まっています。結果的に、両者が利益を得られるウィン・ウィンの関係になりました。プロモーションや宣伝のコストはヤマダ電機の持ち出しですが、今後もケース・バイ・ケースで判断します。


 船井電機の創業者である船井哲良さん(故人)は大変立派な方で、提携の際には「日本国内でもっとも多くテレビを販売しているヤマダ電機と、北米で販売シェアトップの日系テレビメーカーである船井電機が再び手を組むことで、国内マーケットでもナンバーワンを実現したい」と力強くおっしゃっていました。私も、「船井電機で市場を創造したい」という思いでいっぱいです。


 ただ、総合家電メーカーと全面的に提携するのは難しいでしょう。1位や2位の総合メーカーより、3番手や4番手の専業的なメーカーと組むことについては、検討の余地があります。


●経営理念は「創造と挑戦」、全役員降格時の思い


――経営理念や座右の銘については。


山田 経営理念は、体験から生まれた「創造と挑戦」です。この経営理念があったからこそ、苦労や挫折を乗り越えることができました。


 また、座右の銘は4つ。


1.サービス提供とプライスリーダーであり続けること
2.そのためには、収益を生み出すローコスト経営をすること
3.それを可能にするためには、経営資源である人・物・金・システムの仕組づくりを絶えず進化させ、コンテンツをビジネスモデル化し収益を生み出す
4.それを可能にするには人材の育成が必要である


――13年6月に、ヤマダ電機は全取締役を一斉降格しました。どんな思いでしたか。


山田 13年3月期の連結決算で大幅減益となり、減配を余儀なくされたことを受けた措置でした。それまでは成長一本槍で、01年度にはついに業界トップになりました。


 その後、時代の変化もあり、全国的な店舗展開にも限界が見えてきたため、60店舗を一斉閉店しました。会長だった私が社長に復帰し、全役員降格という措置を採りました。


 オーナー経営者は決断力が早く、スピード感を持って事業を行うことができる点が強みです。どのようにすれば経営の建て直しが図れるか、株主総会での株主様との約束をどう守るか……世の中の変化に対応するには、早期の決断が求められます。住宅部門の投資が終わってヤマダ電機の立て直しにメドがついた後、私は会長に復帰して、前述した3代表制を採っています。


――最後に、ヤマダ電機は今後どのような方向に進むのでしょうか。


山田 体験に基づいた経営理念を社員全員と共有し、みんなで汗をかいて人を育てることが肝要です。これまでお話しした通り、ヤマダ電機は未開拓の領域に進み、社員全員がこれまで経験したことのないような業務を行っていきます。


 非常に難しいことですが、新しい発想を生み出して、それを実行に移していかなければ、世の中の変化に対応することはできません。自分たちの知恵が足りなければ、外部から人材をリクルートし、またはシンクタンクから人を呼んでチームを結成することで勉強不足を補います。


 今回の構造改革が成功すれば、ヤマダ電機は今後10年は成長していくと考えています。また、今回の改革は少子高齢化、人口減、ネット社会という時代の変化を先取りするものです。


「ビジネスはインフラを抑えるべき」とソフトバンクグループの孫正義会長は言っていますが、その通りです。「住まいに関する家1軒まるごとのサービス」の事業展開において、住宅・不動産はインフラの大もとです。時代に合わない経営をしていれば衰退し、市場から退場を宣告されます。ヤマダ電機は、これからも時代の変化に対応し、「創造と挑戦」を続けてまいります。


――ありがとうございました。
(取材=松崎隆司/経済ジャーナリスト 構成=長井雄一朗/ライター)



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