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飲食店、なぜ禁煙にすると売上増える?なぜ「お通し」やめると売上増?

  • 2017年 09月14日 06時45分
  • 提供元:Business Journal
「Thinkstock」より

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「Thinkstock」より

 今回は、飲食業のコンサルティングをしていて最近よく聞かれる質問のなかから、ひとつご紹介したいと思います。それは、


「お店は禁煙にしたほうがいいでしょうか?」


というものです。


 山手線都心部、特に千代田区・中央区・港区を中心に飲食店の禁煙化が進んでいます。もちろん都心部でなくても世の中の流れを受けて、禁煙のお店はどんどん増えています。今年に入って厚生労働省は、30平方メートル以下のバーなどに限り例外として喫煙を認めるが、レストランや居酒屋などは屋内禁煙(喫煙専用室の設置可)とする法案提出を進めています。そのため、「これからどうすべきなのか?」と悩んでいる飲食店のオーナーさんから質問を受ける機会が増えています。


 私の答えはいつも「禁煙でいいんじゃないですかね~、その代わり喫煙できるスペースは店内・店外どちらでもいいので、確保してください」と気軽に返事をします。


 その答えを聞くと、オーナーさんはすぐには納得してくれません。「でも、今までの喫煙者の常連さんが来なくなってしまうかもしれないので、現実は難しいのではないでしょうか?」との返事がかなりの確率で帰ってきます。確かに、わざわざ質問するのですから、「禁煙にしたほうがいいのかな……。でも常連さんの反発があると売上に影響して怖い」と悩んでいるのでしょう。


●「まだ見ぬ売上」


 しかし、私が禁煙でいいのではないかとお答えするのには、理由や他店での結果があります。まずは、オーナーさんの考え方はこうです。


「月商200万円の売上のうち、喫煙者が50%いるので100万円分の売上に該当する。禁煙にしたら100万円の売上が減ってしまい、月商は100万円になってしまうのではないか。これではやっていけない」


 しかし、他店での検証結果では、そうなりませんでした。


【月商200万円の店の場合】
 喫煙者の売上分100万円のうち40万円分のお客さんは失った。残った60万円分のお客さんは、面倒ながらも喫煙所に煙草を吸いに行ってくれる。代わりに禁煙になったことで、女性客やファミリー客を中心に今までそのお店を敬遠していたお客さんが来るようになり、60万円が発生した。結果、月商は220万円に上がり10%の売上増となった。


 今、煙草を吸う人の中には、「まったく気が利かない人(歩き煙草を平気でする人、周りの人を気遣うことなく煙草の火をつける人)」もいれば、「周囲を気遣いながら煙草を楽しむ人」がいます。どちらかというと世の中の流れを感じ取り、周りを気遣ってくれる人が増えてきています。それらの人は、客席で煙草を吸わなくても「吸っていいスペース」さえちゃんと用意してあれば、気兼ねなく吸えますから納得してくれることが多くなっています。


 ですので、100万円分の売上のうち、100万円全部を失うことはありません。多くを失うことになるお店は、残念ながら「煙草を吸える」というところが、そのお店の存在価値であって、お店の料理やドリンク、サービスは二の次だったのかもしれません。煙草を吸うスペースが用意されているのに、面倒だからという理由で離れていくのですから、お客さんとのつながりや、お客さんからのお店としての評価は低かったのかもしれません。飲食店として「商品=料理やドリンク」にファンがついていれば、そのお店の必要性は高まり、離れてゆく人の割合は下がってゆきます。


 そして、ここで一番大事なことは、「目の前にある計算できる売上には安心感を覚えるが、まだ見ぬ売上に対しては不安であったり、想像もつかなかったりするので、実行に移すことはなかなか難しい」ということです。


 これは飲食店だけに限ったことではないと思います。今回の場合は、飲食店における煙草が題材で、失うのは「喫煙者の売上」、得るのは「煙草を吸わない人たちのこれからの売上」、つまり「喫煙店だったために今まで来なかった人の売上」と「喫煙店であることによってこれから逃がすはずだった売上」の合計ですが、まだ見えない売上に対しては、狸の皮算用ですから、臆病になることもうなずけます。


●「逃がしていた売上」


 飲食店において、似たような問題があります。それは、


「お通しは、なくしたほうがいいでしょうか?」


という質問に現れます。


 たとえば、月商300万円のお店で客単価が3000円、お通しが300円でやってきたお店が、最近の流れやお客さんからのリクエストからお通しをなくそうかと考えていました。300円のお通しは客単価の10%分ですから、月商では30万円分あります。年間では360万円分です。これがなくなってしまうのは商売上痛いので、悩んでいたようです。


 このケースで失うのは「お通し代」です。では得るものはなんでしょうか。


 答えは「お通しがなくなることによって、新しく来るお客さん」となります。場合によっては、お通し300円の代わりになるべく早く出せるメニューを380円くらいで多く開発して、注文をいただくことができれば、既存客の売上(客単価)を超える可能性が出てきます。


 実際にあるお店はお通しをなくした結果、売上が増えました。まさに、夕飯代わりに1人客やファミリーが気軽に使うようになったり、お客さんの来店頻度が上がったり、メニュー開発によって逆に客単価が上がったりしました。つまり見えない売上(逃がしていた売上)のほうが実は大きかったのです。


 もちろん、必ず同じ結果になるとは限りません。お店によって差が発生すると思います。しかし、お客さんのニーズや心理構造を把握して、自店の現状や今後の方針をベースにトータルで考えて、損か得か、どのような着地がいいのかを「冷静に判断」できると、さらなる繁盛の可能性が高まります。なんでも、失った部分に新しいものが入ってきます。目に見えるものに縛られ過ぎないようにしてみると、より大きな新しいものに巡り合えるかもしれません。
(文=江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部代表)



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