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アディーレ、組織的な非行で業務停止処分…甚大な消費者被害、大量の客を途中で放り出し

  • 2017年 10月12日 20時55分
  • 提供元:Business Journal
「Thinkstock」より

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「Thinkstock」より

 テレビCMでもおなじみの大手法律事務所が、業務停止に陥る事態となった――。


 東京弁護士会は11日、アディーレ法律事務所を業務停止2カ月、元代表の石丸幸人弁護士を業務停止3カ月の処分にすると発表した。債務整理・過払い金返還請求に関する広告が事実と異なっており、景品表示法に違反し、さらに日弁連の規定にも抵触していると判断されたという。


 東京弁護士会は今回の処分をめぐり、「極めて悪質な行為」「長期間にわたって多数回反復継続されている組織的な非行」と強い表現で批判しているが、なぜ東京弁護士会はアディーレの行為を業務停止処分にするほど問題視しているのか。弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏に解説してもらった。


●「今だけ無料」は、なぜ問題なのか


 まず、昨年2月にアディーレが「今だけ無料」というCMを繰り返したことを理由に景品表示法違反(有利誤認)として「措置命令」という行政処分を受けたことは、法律事務所が「消費者被害」を作出してしまった点において、大きな問題であると考えなければなりません。


 確かに、「実際に『今だけ無料』がずっと続くのであれば、アディーレに相談する人にとっては、無料なわけだからなんの問題もないじゃないか?」という考えもあります。しかしながら、たとえアディーレのサービスが「いつでも無料」であったとしても、一般の消費者にとっては、実は潜在的な“被害”が発生しているのです。


 まず、アディーレが提供する「債務整理」「過払い金の返還請求訴訟」などのサービスですが、同じようなサービスを提供している法律事務所は多数あります(註:当事務所では取り扱っておりません)。ここで、本来であれば同じ内容のサービスが提供される場合、一般の消費者は「弁護士費用」のほかにも、例えば担当する弁護士の評判や力量・経験や、場合によっては法律事務所の立地などを考えて法律相談に赴きます。


 ここで、もし「いつでも無料」であるにもかかわらず「今だけ無料」を大々的に宣伝されてしまうと、一般の消費者は弁護士の評判や力量などのほかの弁護士を選ぶ要素を考えずに「今だけ無料なら、せっかくだからアディーレに相談しよう」と考えてしまいます。


 このように、一般の消費者が「アディーレ以外の弁護士に相談する」というほかの選択肢があったにもかかわらず、「今だけ無料」に“釣られ”てしまったことに問題があると理解いただけるかと思います。


 実際、景品表示法は第1条において「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定める」と規定し、一般の消費者がさまざまな商品やサービスのなかから自由に選択する機会を奪われないように規制するとしているわけです。
 
 本来、弁護士・法律事務所は消費者被害を防ぐ立場にあるにもかかわらず、一般の消費者に対し誤解を招くようなCMを出し、「消費者被害」を作出してしまったことは、大きな問題と考えざるを得ません。


●東京弁護士会による今回の処分について


 今回の東京弁護士会の決定(2カ月間の業務停止)は、相応の“覚悟”をもって今回の決議を行ったものと考えられます。
 
 ご存じのとおり、アディーレは180人以上の弁護士を擁する大手の法律事務所です。「法律事務所」としての「2カ月間の業務停止」という処分は、数百人規模の相談者や顧客に影響が及ぶでしょう。「業務停止」の期間中は、すべての法律委任契約を解除し、相談者や顧客に対するサービスを終了させなければなりません。すなわち、これらの数百人規模の方々が、突然「債務整理」や「過払い金の返還請求訴訟」などのサービスを途中で受けられなくわけですから、引き継いでくれる弁護士を探さなければなりません。今後、おそらく相当の混乱が生じることでしょう。世間の弁護士全体に対するイメージも低下するかもしれません。


 このような、“二次的・副次的な被害”、弁護士に対する世間の非難が想定されるにもかかわらず、東京弁護士会が「2カ月間の業務停止」という重い処分を下したのは、相応の“覚悟”があってのことと思われます。


 実際、東京弁護士会はアディーレの広告手法について、「極めて悪質な行為」「組織的な非行」などと厳しい指摘をした上で、「市民の弁護士会に対する信頼を確保するため」などを理由に、専用の臨時電話相談窓口を設置し対応にあたっております。


●懲戒処分のその後


「2カ月間の業務停止」が明ければ、アディーレもこれまでどおり法律業務を再開することができます。もっとも、前述のとおり一度すべての相談者や顧客に対するサービスを終了させているわけですから(なかには、「明日、裁判の期日がある」という方もいらっしゃったかもしれません)、すでにほかの法律事務所に再依頼をしていることでしょうし、この方たちをもう一度呼び戻すのは相当な困難を伴うことが想定されます。


●最後に


 今、インターネット上では「出る杭は打たれる」「弁護士はクズ」といったコメントなどで溢れていますが、大手の法律事務所による今回の事件が弁護士全体に与えた影響は少なくありません。


 これまで、「ゴルフ場預託金返還請求バブル」「過払い金請求バブル」などと揶揄されたように、弁護士の“儲け話”があったことは確かです。これらの法律業務は、通常の訴訟事件や交渉事件と比べると簡単な法律業務であることから、過大な広告費用をかけて相談者を集客し、若い弁護士や事務スタッフを多く雇って“ベルトコンベアー”式に「作業」を繰り返せば、大量処理ができ、確かに儲かることでしょう。このような“バブル”に飛びついて、アコギな商売と思われるような法律業務を行ってきたツケが今回の顕れでしょう。


 気の毒なのは、結局のところ、アディーレから突然「今日をもって、ご依頼の件から辞任します」と“放り出された”お客さんたちです。私も、弁護士の一員として東京弁護士会を中心とした救済・相談に応じていきたいと思います。
(文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士)



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