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丸紅、「総合商社」から脱落の危機…業績悪化に会長・社長対立が影落とす

  • 2018年 01月13日 00時10分
  • 提供元:Business Journal
丸紅旧大阪支社ビル(「Wikipedia」より)

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丸紅旧大阪支社ビル(「Wikipedia」より)

 総合商社は好決算に沸く。石炭や鉄鉱石などの資源価格の上昇を受け、2018年3月期の純利益は、三菱商事が5000億円、伊藤忠商事が4000億円、三井物産が4000億円、住友商事が2800億円と、それぞれ過去最高益を見込む。丸紅は1700億円の見込み。丸紅の最高益は14年3月期の2109億円で、ひとり取り残された格好だ。


 各社は資源価格の上昇を追い風に増配する。三菱は年間配当を前年の80円から95円に引き上げた。同じく伊藤忠は55円から70円、三井は55円から60円、住友は50円から56円、丸紅は23円から25円に増やす。


 資源市況の変動を警戒し、商社株は総じて振るわないが、株主への還元を強化することによって投資家を呼び込むことを狙う。


 1990年代の「冬の時代」を乗り越えるべく、総合商社はかつての貿易業務(トレーディング)から事業投資モデルに転換した。2000年代半ばからの10年間は資源価格の高止まりもあって高い利益水準を維持し、総合商社は「わが世の春」を謳歌した。


 ところが、14年後半に原油相場が急落。鉄鉱石、石炭、銅などの金属価格も下落し、各社とも巨額の減損損失を計上した。「資源商社」の異名を持つ三菱と三井は、16年3月期に初めて最終赤字に転落。資源以外に収益を多角化してきた伊藤忠が最終利益で首位になった。伊藤忠がスリーダイヤの雄、三菱を初めて最終利益で上回ったのだ。


 その後、資源価格は回復した。鉄鋼生産に必要不可欠な原料炭は16年前半の平均と比べ約8割高。銅や鉄鉱石も上がった。資源価格の持ち直しで三菱と三井は17年3月期にV字回復、住友や丸紅も1000億円台の最終利益の水準に戻った。


 とはいっても、資源の市況は変動が激しい。瞬時に向かい風に変わる。各社は市況に左右されにくい非資源分野を強化。自社が得意とする事業領域への投資を鮮明にした。


 非資源分野で業界首位を狙う伊藤忠は12年、米ドールの加工食品事業とアジア青果事業を1350億円で取得。15年、タイの財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと組んで、中国の国有コングロマリット、CITIC(中国中信集団)に1兆2000億円を折半投資した。


 各社は生活産業に力を入れている。なかでも三菱と丸紅のケースが明暗を分けた。


●三菱商事は赤字のサケ養殖が黒字に転換


 三菱の18年3月期の純利益(5000億円の見込み)のうち、原料炭を含む金属部門が1800億円と全体の36%を占める。資源価格の上昇がいかに大きかったかがわかる。


 生活産業部門は800億円を計画。部門別では金属、エネルギー事業に次いで3位。安定収益の柱に育った。


 14年11月に1459億円を投じてノルウェーのサケ養殖大手、セルマックを完全子会社にした。11年に買収したチリの同業サルモネス・フンボルトと合わせ、生産量は約20万トンに拡大し、世界第2位に躍り出た。


 だが、サケの消費で世界の1割を占めるロシアは、ウクライナ問題に対するEU(欧州連合)の対ロシア制裁への報復として、EU産の食品の一部の輸入を禁止した。ノルウェー産のサケも禁輸の対象となった。そのためサケの売り上げが激減した。


 三菱は15年4~6月期にセルマックで50億円の赤字、フンボルトも18億円の赤字となり、「サケ赤字」と大きな話題となった。セルマックとフンボルトを統合して建て直しを進めた。


 一転してサケ・マス市況は上昇。17年7~9月期にセルマックは90億円の利益を計上した。前年同期から22億円増えた。


 また、コンビニエンスストアのローソンの持ち株比率を33.40%から50.11%に高めて子会社にしたことで7~9月期のローソンの利益の寄与分は119億円と前年同期から43億円増えた。ローソンを子会社にしたのは生活産業部門の強化の一環だったことがわかる。


●丸紅は米穀物メジャー、ガビロン買収失敗の後遺症


 各商社が18年3月期の純利益で過去最高を見込むなか、丸紅だけが前期比9%増の1700億円とする従来予想を据え置いた。北米で手掛ける肥料事業が市況低迷の影響を受けて採算が悪化するためとしている。


 丸紅は巨額買収の後遺症に苦しむ。13年、丸紅として過去最大となる2700億円を投じ、米穀物メジャー、ガビロンを買収した。買収当時は、米国の複数の集荷事業と、中国を中心としたアジアでの販売網の相乗効果を期待していた。


 13年、朝田照男氏(現会長)から社長のバトンを受け継いだ國分文也氏は、ガビロンを柱に「16年3月期は純利益2500億~3000億円へと大きく飛躍することを目指す」とぶち上げた。


 しかし、高値づかみのツケを払うことになる。ガビロンののれん代500億円の減損損失を出し、15年3月期の純利益は従来予想の2200億円から1056億円に半減した。


 経営責任をめぐり“お家騒動”が勃発。ガビロン買収の立役者で、次期社長候補と目されていた岡田大介氏が退任した。社長当時に買収を決断した朝田氏は留任したため、「トカゲの尻尾切り」と顰蹙を買った。朝田氏と國分氏の対立が、商社で独り負けといえるような業績に影を落としている。


 生活産業部門の18年3月期の純利益は570億円の見通し。「丸紅電力」と異名を取る丸紅は、中東や東南アジアで発電事業を展開しているが、その純利益は525億円の見込み。生活産業部門は電力を上回り、全部門でトップの利益をあげる大黒柱だ。


 だが、生活産業部門の中核であるガビロンは収益に貢献しているとは言いがたい。ガビロングループの17年4~9月期の純利益は21億円。前年同期より5億円減った。相乗効果を見込んでいた北米産穀物の集荷事業の純利益は3億円で前年同期より13億円減った。通期では中国向け大豆取引の採算悪化が見込まれており、業績は振るわない。


 丸紅はガビロンの呪縛から抜け出せずに喘いでいる。
(文=編集部)



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