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かっぱ寿司、連続客減地獄の出口見えず…高級品強化も吹石一恵CMも食べ放題も不発

  • 2018年 02月12日 00時00分
  • 提供元:Business Journal
かっぱ寿司の店舗(「Wikipedia」より)

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かっぱ寿司の店舗(「Wikipedia」より)

 かっぱ寿司の売り上げ減が止まらない。


 かっぱ寿司を展開するカッパ・クリエイトが1月31日に発表した2017年4〜12月期の連結決算は、売上高が前年同期比0.6%減の595億円だった。4〜9月期の段階では、わずかではあるが増収(前年同期比0.6%増)だったが、一転して減収に陥った。


 10月の既存店売上高が前年比で11.1%減ったことが響いた。週末が前年より1日少なかったことや、週末に2回台風に見舞われるなど天候不順が続いたことが大きく影響した。


 だが、それはかっぱ寿司だけに当てはまる話ではない。実際に、10月は外食各社が軒並み不調だった。しかし、2桁減になるほど不調だった外食企業はごくわずかでしかない。天候など特殊要因以外の問題もかっぱ寿司を直撃していることで、10月は大幅減になったと考えるべきだろう。かっぱ寿司は、依然として厳しい状況にあるのだ。


 かっぱ寿司は近年、ロゴを変更したり食べ放題キャンペーンを実施したりと、業績回復に向けた施策を次々と繰り出し、世間に話題を振りまいてきた。最近でいえば、昨年7月から女優の吹石一恵さんが女漁師を演じるシリーズ物のテレビCMを放送したり、8月下旬〜9月上旬と9月下旬〜10月上旬、11月上旬〜下旬に食べ放題を実施したりしている。また、11月下旬からは一部店舗で、1皿1貫50円ですしを提供する実験を開始した。


 11月上旬〜下旬に実施した食べ放題は、業績に大きく貢献した。以前の食べ放題は、一部店舗での実施にとどまっていたが、11月の食べ放題は全店舗で実施したためだ。カッパ・クリエイトによると、実施した22日間で19万名以上が利用し、反響も大きかったという。既存店売上高が前年割れすることが珍しくないなか、11月は前年比5.5%増と大きく伸長している。食べ放題が大きく貢献したことがわかる。


 食べ放題は成功した施策といっていい。採算が取れているかどうかは別問題だが、話題を喚起することには成功しているので、一定の評価を与えてもいいだろう。ただ、すしのおいしさと直接関係がない“販促”にすぎず、圧倒的な競争優位性を確保できたわけではない。


 食べ放題は、競合他社もマネしようと思えばすぐにできる施策だ。また、いずれは話題性も薄れていくだろう。そうなった際に、「かっぱ寿司のすしを好きなだけ食べたい」と思ってもらえるかどうかがカギとなる。つまり、すし自体がおいしくなければ意味がないのだ。まずいすしを好きなだけ食べたいと思う消費者は皆無だろう。


●「高単価で高品質」のすしに注力


 そうしたなか、かっぱ寿司は、「高単価だが高品質」のすしの提供に力を入れている。かっぱ寿司ではすしの多くを「2貫100円」という低単価で提供しているが、「1貫100円」「2貫180円」といった高単価のすしが徐々に充実してきているのだ。特に17年は相当力を入れたようだ。


 たとえば、17年1月9日に1日だけ数量限定で、天然の大間の本マグロのすしを1貫280円で提供した。9月には北海道産のいくらのすしを1貫180円で、11月からは本ずわい蟹のすしを1貫180円で、それぞれ期間限定で提供している。これらはほんの一例にすぎず、ほかにも多数の高単価・高品質のすしを提供している。


 その効果は、客単価に如実に表れている。16年度の既存店客単価は前年度比2.4%増にすぎなかったが、17年度上期(4〜9月)は6.0%増と大きく伸びている。10月は8.2%増、11月は11.3%増、12月は8.4%増となった。18年1月は6.1%増となっている。食べ放題の影響もあるだろうが、高単価・高品質のすしが大きく引き上げたといっていいだろう。


 それは客単価だけでなく、売上原価率にも表れている。カッパ・クリエイトの11〜15年度の売上原価率は45%程度だった。ところが、16年度は49.2%にまで跳ね上がっている。17年4〜12月期は48.1%で依然として高い状態が続いている。売上原価率の上昇も、食べ放題の影響が多少あると考えられるが、高単価・高品質のすしを価格を抑えて提供したことが影響しているだろう。


 かっぱ寿司は高単価・高品質のすしを相次いで投入することで、おいしくなったことをアピールしたいのだろう。ただ、残念なことに、食べ放題などインパクトのある施策の影に隠れ、高単価・高品質のすしが大きな話題になることは、ほとんどなかった。集客につながったとはいいがたい。


 実際に、客数は依然として減少が続いている。14年度の既存店客数が前年度比7.7%減、15年度も同5.5%減、16年度は6.5%減と減り続けており、高単価・高品質のすしで17年度は集客を図りたいところだったが、17年度上期(4〜9月)が前年同期比6.7%減、10月が前年同月比17.9%減、11月が同5.2%減、12月が同10.6%減と、客数減が止まらない状況だ。18年1月も同9.1%減となっている。


●競合他社も高品質のすしを投入


 高単価・高品質のすしを投入したにもかかわらず、なぜかっぱ寿司の客足は戻らないのだろうか。前述したとおり、食べ放題などの影に隠れてしまったことがひとつの要因と考えられるが、それに加え、競合店も高単価・高品質のすしを投入しているため、かっぱ寿司の高単価・高品質のすしがニュース性の乏しいものとなってしまったことが大きく影響したと筆者は考えている。


 その筆頭格が、業界トップのスシローだろう。たとえば、スシローは17年11月に、CSN地方創生ネットワークが運営する飲食店向けオンラインマーケット「羽田市場」を活用し、日本各地の海でとれる旬の天然ものを提供するプロジェクトを開始した。CSNは羽田空港内で仕分けや加工を行うセンターを自社で運営し、そこを通して産地から店舗へ一気に魚介類を配送している。市場などの中間業者を介さないため、原則、とれたその日のうちに店舗に届くという。スシローはこの仕組み利用して、高単価・高品質のすしを提供し始めたのだ。


 羽田市場は、その斬新な仕組みが評価され各種メディアでよく取り上げられた。人気情報番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)にも取り上げられた。その羽田市場とスシローが組んだことも話題になり、よく報じられた。


 スシローはそれ以前から、高単価・高品質のすしの販売に力を入れている。世界中のよりすぐりのネタを集めて1皿100円で提供するプロジェクトがそのひとつだ。16年8月から始まり、チリ産のウニを使った「濃厚うに包み」を販売したのを皮切りに、その後もネタを変えながら断続的に高単価・高品質のすしを販売し続けている。


 スシローは一例にすぎない。他の回転ずしチェーンも、高単価・高品質のすしの提供に力を入れている。また、近年は1皿数百円という高級路線の回転ずし店も勢いがある。回転ずし店で提供されるすしは、高品質でも当たり前という認識が広がりつつあるのだ。


 そうした風潮のなかで、かっぱ寿司の高単価・高品質のすしがニュース性に欠けてしまった感は否めない。だが、「かっぱ寿司が変わった」と広く認識されるためには、低価格でおいしいすしを提供するだけでなく、高単価・高品質のすしも同時並行的に地道に提供し続けることも必要不可欠で、方向性は間違いではないはずだ。かっぱ寿司が復活するには、もう少し時間が必要なのかもしれない。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)


●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。



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