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浦沢直樹さんパリで個展「日本漫画の突破口に」

  • 2018年 02月13日 21時21分
  • 提供元:読売新聞
個展の作品の前に立つ浦沢直樹さん(パリで)=作田総輝撮影

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個展の作品の前に立つ浦沢直樹さん(パリで)=作田総輝撮影

 「YAWARA!」「20世紀少年」など数多くのヒット作を生み出してきた漫画家・浦沢直樹さん(58)の個展が13日、パリ市庁舎で始まった。
 フランスを始め、海外でも厚い支持を受ける浦沢作品。創作への意欲はいかにして生まれるのか。開幕に合わせ、漫画や個展への思いを聞いた。
 ――漫画大国の一つであるフランスのパリで、3月31日まで個展を開く。
 「フランス漫画のBD(バンド・デシネ)が好きで、影響も受けた。不思議なもので、好きな絵に出会うと友達みたいな気持ちになる。フランス人も僕の作品に対して、同じような親近感を持ってくれているのではないか。今回の個展が日本漫画を世界でもっと知ってもらうための突破口になればいいと思う」
 ――日本では2年前に初めて本格的な個展を開いた。
 「5歳の頃から漫画を描いてきた。白い紙からできあがるのが自分にとっての漫画なのに対し、皆さんが言う漫画は既に印刷されたものだ。そこにずれを感じていた。私たちが描く原稿は印刷された漫画よりも大きい。何回も描き直した跡もある。生の原稿を見ることで、漫画ができあがる過程や漫画家が紙に込めたニュアンスをじかに感じ取ってもらいたい」
 「額縁に1枚の絵を入れる従来型の展示にはせず、本と同じように見開きで見せる形の展示にしている。右ページから左ページに行き、終わりになると次のページをめくりたくなる。漫画の醍醐だいご味を表現している。パリの後は、日本の山口県で個展を開催する予定だ」
 ――今回の滞在でフランス人のファンと交流した。
 「日本と同様に、フランス人も大人が読める漫画を求めている。『あなたのような大人になっても読める作品が日本にあることを知り、日本の青年漫画をたくさん読むようになった』という話を年配の方から何度も聞いた」
 ――デビューから35年。テレビ番組への出演など幅広い活躍が目を引く。
 「人々の漫画への理解が少しでも深まればという思いを昔から持っていた。ただ、そのための活動が最初からできたわけではない」
 「漫画家にとっての名刺は作品だ。名刺を作らないと意見なんて聞いてもらえない。週刊連載と隔週連載で月130ページの原稿を書く。そんな状態を続け、運良くヒット作にも恵まれた。20年かかってようやく名刺代わりの作品ができたという感じだ」
 ――スポーツやサスペンスなど様々なジャンルでヒット作を連発している。
 「自分が書きたいと思うものを書いてきた結果だ。時には編集者と意見を戦わせ、新しい作品に取り組んできた」
 ――漫画のあるべき姿を模索している。
 「漫画は紙の本で見開きで読むべきだと思っている。電子書籍化を認めていないのはそのためだ。正しいかどうかは分からない。漫画が好きなので、漫画というものが皆さんにどのように届くのが一番いいのか、常に考えている」
 ――手塚治虫氏の作品に魅せられた。
 「13歳の時に『火の鳥』を全巻読んで、雷に打たれたようになった。実家の縁側で、こんなに面白い壮大なスケールの漫画を描く人がいるのかと思いながら、長い時間を過ごした。あの日の午後が僕の成人式だった。『火の鳥』を北極星にして、それに向かって歩いて行けば、人生は絶対に楽しいはずだと思った」
 ――手塚作品は最終的な目標か。
 「そっちに向かっているが、絶対にたどり着けない。自分の作品から同じ衝撃を受けたことはない。13歳のあの日の午後に『火の鳥』に出会ったという一つの奇跡がある。それと同じ衝撃はもう自分には起きないと思っている」
 ――創作意欲を維持し、一線で活躍し続けている。
 「いい絵を描いて、面白ければ言うことがない。5歳の時から変わっていない。もっとうまくなりたいと思い、好きな遊びを続けているだけだ。遊びだから引退もない。これからもひたすら面白いものを描いていきたい」(パリ支局 作田総輝)

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