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「働き方改革」の虚妄…まず自分の仕事時間の使い方を分析→見たくない現実を直視しよう

  • 2018年 04月15日 16時45分
  • 提供元:Business Journal
「Gettyimages」より

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「Gettyimages」より

 国を挙げての関心事となっている「働き方改革」は、そのほとんどの議論が残業時間削減に象徴される長時間労働の是正に集中しているようにみえる。


 そして、長時間労働是正の根拠としてよく使われるのが、日本の労働生産性の低さだ。2018年3月9日付日本経済新聞のコラムでも取り上げられていたが、日本の労働生産性の低さは惨憺たる状況だ。2016年においてはOECD加盟国35カ国中21位という低さだし、先進7カ国(G7)の中では万年最下位だ。先進国としてはまったく恥ずべき状況なのである。


 なかでもホワイトカラーの生産性の低さが指摘されている。そこで長時間労働の是正ということになるわけだ。なんだかもっともらしく聞こえる話だが、結論から言うと、長時間労働を是正しただけでは労働生産性は改善しない。むしろ、悪化することさえあり得る。


●労働生産性とは1人当たりの付加価値


 そもそも労働生産性とは何かというと、それは一人当たりの付加価値として定義される。計算式は、以下のようになる。


 分子の「付加価値」とは、「企業が新たに付加した価値」ということである。ざっくり言えば売上総利益、いわゆる粗利にほぼ等しいものと思っていい。売価と仕入値の差額が企業が新たに付加した価値とみなせるからだ。さらに簡単に言えば、要するに「利益」ということである。


 この計算式の中に「時間」というファクターは入っていない。したがって、労働時間を減らしただけでは、労働生産性の分子も分母も何も変わらない。


「減らす」ことを考えるならば、分母の従業員数を減らさなければならない。今までと同じ利益を今までより少ない人数で実現できて初めて、労働生産性は改善される。従業員数削減のためには総労働時間の短縮が必要で、そのための第一歩として長時間労働の是正が必要だというならまだわかる。


 しかし、従業員数を減らすということは企業規模を縮小することだから、普通に考えれば企業全体の利益も減少してしまう。従業員を減らさなくても、労働時間を短縮するだけでも企業が生み出す利益は減少する可能性が高い。今までよりも働かなくなるのだから当然だ。そうなれば、むしろ労働生産性は悪化してしまう。


 ちゃんと因果関係を踏まえて手段を考えないと、単なる自己満足の施策で終わるどころか、裏目に出ることさえあり得るという典型例である。


●働き方改革とは付加価値活動時間の比率を高めること


 労働生産性を高めるために必要なことは、付加価値を生み出す“付加価値活動時間”の比率を高めることだ。そのために、まずやるべきことは、各人がどのような活動に時間を費やしているかを明らかにすることだ。


 ここでいう“付加価値活動”の定義は明確だ。付加価値とは要するに利益のことであるから、直接的・間接的に利益に結び付く活動時間のみが付加価値活動時間である。もしあなたが時間単位でクライアントと契約するコンサルタントだとすれば、クライアントに請求できる“チャージャブル・タイム”だと思えばわかりやすいだろう。


 たとえば、営業という職種においてもっとも付加価値がある活動は、なんといってもお客様と会っている時間だろう。では、お客様と会っている時間比率はどれくらいかというと、私のコンサルティング経験からいうと、多くの場合20%台止まりなのである。それ以外は、会議、移動、そして社内の雑務に多くの時間が取られている。それで、「時間が足りない」「猫の手も借りたい」と言っているのである。残念ながら、会議、移動、雑務に費やした時間のほとんどはクライアントにチャージできない。それらを猫に手伝わせたら、猫にも失礼である。


 付加価値活動時間の比率は簡単に測定することができる。1~2週間、各人が何にどれだけ時間を使ったかを記録してもらえばいいのだ。ほとんどの場合、とてもクライアントに請求できないことばかりに多くの時間を使っている。


 そのような“非付加価値活動時間”だけを削減するのだ。そのためには、仕事の進め方を根本から見直すことが不可欠になるはずだ。それこそが本当の「働き方改革」である。
(文=金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表)



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