Sony

ニュース

牛久入管収容所で印人男性自殺、長期収容など懸念再燃

  • 2018年 05月17日 12時27分
  • 提供元:AFPBB News
成田空港入国審査カウンター脇に張られた難民申請希望者向けのポスター(2017年4月28日撮影)。©AFP=時事

写真拡大

成田空港入国審査カウンター脇に張られた難民申請希望者向けのポスター(2017年4月28日撮影)。©AFP=時事

【AFP=時事】茨城県牛久市にある入管収容施設(東日本入国管理センター)で4月13日、インド人男性ディパク・クマル(Deepak Kumar)さんが自殺を図ったとみられる状態で発見された。クマルさんの死をきっかけに、被収容者の処遇をめぐる懸念が再燃している。

 NPO「難民支援協会(JAR)」によれば、2010年以降国内の入国管理施設で死亡した被収容者はクマルさんを含めて少なくとも8人に上る。

 今月も同じ牛久の施設で40代のブラジル人が自殺を図っている。一命はとりとめた。

 クマルさんの死を受け、牛久の入国管理センターでは被収容者約70人がハンガーストライキを行った。その他の入管収容施設でも処遇をめぐり抗議が行われたという。

 JARによると、全国の入管収容所に拘束されているのは計約1000人。これらの施設をめぐっては、けがや病気に対する適切な処置が行われていないとの訴えも長きにわたり提起されている。

 牛久の施設では、昨年ベトナム人男性がくも膜下出血で死亡した。2014年にはイラン人とカメルーン人が命を落としている。

「10年に1人の死でも多すぎる」と、JARの石川えり(Eri Ishikawa)代表理事は話す。しかし「実際にはここ数年、被収容者が死亡する事案が毎年起きている」

 一方当局は、AFPの取材に対し、被収容者が不当な扱いを受けているという指摘を否定する。

 被収容者の人権は尊重されており、例えば施設内が寒いといった苦情に対しては状況の改善を図ったという。その上で、仮放免の申請に関しては正規の手順を踏む必要があると強調した。


■改革を呼びかけ

 通常、入管施設で長期収容されている外国人は退去強制令書の発布を受けている。しかし実際にはその多くが難民としての保護を求めている難民申請者であり、認定手続きが行われている間、彼らは仮放免の申請を行うことができる。

 インド人のクマルさんも仮放免を申請していた。自殺を図ったのは申請が却下されたことを知った直後だったと、クマルさんと同室だった別の被収容者から聞き取りをした「牛久入管収容所問題を考える会」の田中喜美子(Kimiko Tanaka)さん(65)は話す。

「3月中には仮放免の申請が却下されていたのだが、彼はそれを4月12日に知ったようだ」

 インド・パンジャブ(Punjab)州でAFPの取材に応じたクマルさんの兄弟サンジュさんは、クマルさんの死に家族はショックを受けており捜査の開始を求めていると話した。

「彼には自殺する理由などない。クマルはちょっとやそっとのことではへこたれない人間だった」

「亡くなる前日に電話をくれた。そのときは上機嫌だった。5日後にまた電話すると言っていたのに」

 そして「当局は信用できない。なぜ亡くなったのか、捜査を要求している」と付け加えた。

 JARなど人権団体は、長年にわたり入管収容施設の運営について改革を訴えている。長期収容の中止、医療体制の改善、第三者機関による介入などだ。

 日本の難民政策も批判の対象だ。

 難民認定申請数は昨年だけで2万人近くに上ったが、認定されたのはわずか20人。申請者の大半は経済移民だというのが政府の主張だ。

 しかし、支援団体や国連(UN)は、真に危険な立場にある難民申請者に対しても証明が極めて難しい認定要件が課されていると指摘する。


■「何も悪いことをしていない」

 クマルさんも難民認定申請を行っていたが、申請理由は不明だ。

 それでも「インドからの政治難民として入国してから1年、そのほとんどを収容施設の中で拘束されていた」(田中さん)ことは事実だ。

「日本の入管法・難民認定法の無慈悲さを改めて思い知らされる」

 被収容者らは、たとえ施設の職員らに体調不良を訴えても睡眠薬や抗不安薬を渡されるだけだと主張する。

 JARの石川代表理事は「被収容者の約20%が睡眠薬のような薬を渡されているのでは」と懸念する。「現状を把握するための独立した監視体制なども整っていない」と指摘した。

 退去強制令書を発布された難民認定申請者は無期限で拘束されることもあり、田中さんはこのような「長期収容は精神的にも肉体的にもダメージを与え続ける」と指摘する。

 これまでも、入管収容施設の被収容者らがハンガーストライキを行ったことはあったが、大きな変化にはつながっていない。田中さんによると牛久では、クマルさんの死と職員らの無関心ともとれる態度によって新たな怒りが広がりつつあるという。

 クマルさんの友人の一人は、自身には法的な滞在許可が下りているものの、当局による追及を恐れて匿名の取材のみに応じた。

「彼は何も悪いことをしていない。けんかもしていないし泥棒もしていない。それなのに1年も牢屋(ろうや)に入れられていたのはおかしい」
【翻訳編集】AFPBB News

関連ニュース

関連写真

注目の情報

ニュース写真