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ANA、JALの牙城・ハワイ路線に殴り込み…最新鋭の巨大旅客機投入

  • 2018年 05月18日 00時10分
  • 提供元:Business Journal
ANAが導入するエアバスA380(「Wikipedia」より)

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ANAが導入するエアバスA380(「Wikipedia」より)

 航空会社は訪日外国人(インバウンド)の増加の追い風を受けて、就職活動中の文科系学生から人気が高い。


 人材総合サービス会社、ディスコが運営する新卒就職支援サービスサイト「キャリタス就活」(旧「日経就職ナビ」)は、「2019年卒の就活生が選ぶ就職希望企業ランキング」をまとめた。


 総合ランキングで首位に立ったのは日本航空(JAL)。前年の4位から3ランクアップした。全日本空輸(ANA)が3位(前年も3位)に入り、エアラインの人気が高い。JALとANAの就職人気が逆転したのは、JALは国際線、ANAは国内線のイメージが強いことによる。インバウンドの増加がJALの人気を高めたといえそうだ。


 ANAがJALの牙城であるハワイ・ホノルル路線で勝負に出た。


 ANAを傘下に持つANAホールディングス(HD)は4月25日、2019年春以降、東京-ホノルル路線に3機投入するエアバスの新型旅客機「A380」の座席数や機内のデザインを発表した。


 A380は世界で唯一の総2階建ての旅客機でANAは520席を設ける。2階にファーストクラスが8席、日本初のドアを備えた個室型シートだ。ビジネスクラスが56席。家族やカップルが隣同士で座れるペアシートを取り入れた。そしてプレミアムエコノミーが73席という構成だ。


 1階のエコノミークラス(383席)には、座席下のレッグレストを引き上げ、隣接する3~4席で平らなベッドのようになるカウチシート(60席)を導入する。これも日本の航空会社で初だ。着替えや授乳などに使える多目的ルームも設ける。


「空飛ぶウミガメ」の意味を持つ「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」と名付け、全機が特別塗装。ハワイの空と海、夕陽をイメージし、青(ANAブルー)と深緑(エメラルドグリーン)、オレンジ(サンセットオレンジ)と1機ごとに異なる色のデザインが採用された。


 ハワイは日本人にとって代表的なリゾート地だが、歴史的にJALが圧倒的に強い。JALは成田-ホノルル線を1日4往復、関西-ホノルル線を同2往復、中部-ホノルル線を1日1往復運航する。


 対するANAのハワイ路線は、成田-ホノルル線が1日2往復と、羽田-ホノルル線が1日1往復の計3往復にとどまる。


 ANAによると、ホノルル路線のシェアはJALの32%に対してANAは14%。来春以降、現在のボーイング787機(246席)をA380機に順次置き換え、シェアを25%程度にまで引き上げたい考えだ。


 対するJALは反撃に出た。17年9月に成田-ハワイ・コナ線を1日1往復飛ばすなど、さらに路線網を拡充する。18年3月にはハワイアン航空と共同運航(コードシェア)を始めた。


 ハワイアン航空は、かつてANAと提携し共同運航してきたが、提携相手をJALに切り替えた。JALとハワイアン航空は17年9月、包括業務提携契約を締結。共同運航やラウンジの相互利用、マイレージプログラムでの提携などのほか、ダイヤ調整などでも連携して、共同事業も視野に入れている。


●羽田国際線発着枠拡大の争奪戦


 ANAとJALの18年3月期の連結決算は明暗が分かれた。


 ANAHDの売上高は前期比11.7%増の1兆9717億円、純利益は45.6%増の1438億円。国際線が好調で、純利益は3期連続で過去最高を更新した。


 一方、JALの売上高は同7.3%増の1兆3832億円、純利益は17.5%減の1354億円。国際線でビジネス客などの利用が伸びたが、旅客システムの更新費用や前期まであった法人税等調整額がなくなり税負担の増加が重荷となった。


 ANAHDの純利益が、経営破綻後に税制の優遇措置を受けているJALを上回ったのは、12年9月にJALが再上場してから初めてのことだ。JALの税制優遇措置がなくなり、同じ土俵での競争に突入した。


 20年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、都心上空のルート変更に伴い、羽田空港の国際線の発着枠が増える。増加する50便の配分は18年末から19年初めに決まるとみられている。


 エアライン業界は政権の意向に左右される。安倍晋三首相の「JAL冷遇、ANA優遇」は徹底している。政府専用機の整備をANAに委託したことから、国を代表する航空会社、“ナショナル・フラッグ・キャリア”の座はJALからANAに交代した。


 というのも、JALは民主党政権下で再生に成功した唯一の企業だからだ。会長としてJAL再生に辣腕を振るった京セラ創業者の稲盛和夫氏は、路線開設などに政治家が介入したことがJAL倒産の最大の原因とみなした。そのため「永田町(政界)や霞が関(官界)にすり寄るな」と言い続けた。政治家や官僚に振り回される航空会社のあり方を根本的に変えようとした。


 しかし、民主党から自民党に政権が交代し、安倍政権が誕生したことでJALには逆風が吹き付け、冷や飯を食うことになった。


 発着枠の獲得には、政治力がものをいう。官邸と太いパイプをもつANAと、パイプが目詰まりした状態のJALでは、戦う前から勝負がついている。


 今回も、ANAが羽田国際線の発着枠争奪戦でJALに圧勝するのは確実といわれている。発着枠の増枠をテコに、ANAはJALのドル箱であるハワイ・ホノルル路線に攻め込む。超大型旅客機エアバスA380機を投入してJALからシェアを奪い取る作戦だ。


 エアライン版のハワイを舞台にした“仁義なき戦い”が始まる。
(文=編集部)



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