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【全日本おっぱいサミット】再び!「子連れ旅」バッシング&「旅育」メリット大検証

  • 2019年 02月12日 10時30分
  • 提供元:ウレぴあ総研
 撮影:稲澤朝博

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撮影:稲澤朝博

ハピママ*「公共の場での授乳問題」特集をきっかけに始まった【全日本おっぱいサミット】。


昨年に続き2018年10月27日、第2回が開催されました。今回のテーマは「旅する“おっぱい”」。旅や母子支援の専門家、産婦人科医らが来場者と徹底討論した様子をレポートします!


ガチンコトークが人気のイベント!“おっぱいスペシャリスト”が大集合?

2017年11月に初開催された【全日本おっぱいサミット】は、さまざまな分野から集まった“おっぱいスペシャリスト”のオープンな語りが評判を呼び、翌月には全国紙で特集が組まれ、さらには医学専門誌でも取り上げられたほどの大反響だったとか。


そんなウワサを聞きつけてか今回、会場となった東京ウィメンズプラザ・大ホールを訪れた人はおよそ150名。赤ちゃんを連れたファミリーから孫育て世代、また育児系の催しには珍しく若い男性の姿もあり、幅広い層からの関心の高さが伺えました。


そんな観客を迎え撃つ(?)登壇者、ことしの“おっぱいスペシャリスト”の面々は・・・


  • Eテレでおなじみ!乳幼児教育と親子支援を優しく語るマメ先生こと 玉川大学教授・大豆生田啓友

  • おっぱいの悩みはこの人に聞け!ロングセラー『おっぱいとだっこ』監修 産婦人科医・村上麻里

  • 0歳から夫婦で旅育実践中!『海外旅行で子供は育つ!!』著者 旅行会社たびえもん代表・木舟周作

  • 親子の旅育メソッド提唱!子連れで47都道府県踏破『旅育BOOK』著者 旅行ジャーナリスト・村田和子

  • 進行役:『地球の歩き方』(株式会社ダイヤモンド・ビッグ社)前社長・藤岡比左志

  • リポーター:第1回【全日本おっぱいサミット】にも登壇!フリーライター・今一生


  • これまた錚々たるメンバー!


    開演前のロビーのあちこちで「ママへのお出かけバッシングが~」「産後うつが~」なんて気になる会話が交わされている内に主催者の“前説”が始まり、待ちに待った第2回【全日本おっぱいサミット】の幕が開いたのでした。


    ウェブアンケート結果に見る「赤ちゃん連れ旅」アリ?ナシ?炎上した例も!

    早速、イベント前に実施された「赤ちゃん連れ旅」に関するアンケート結果が“おっぱいリポーター”今一生さんから発表され、会場がどよめきます。


    進行役・藤岡比左志さん(以下、藤岡):最近では「旅育」ブームなんていわれている一方で、日本人の旅行離れが進み、特に若者が海外へ行かなくなっています。


    旅行業界関係者としても、またグローバル社会の中で次世代がどう生き残るのかを考えても、子どものうちから旅に親しみ“旅好き”に育って欲しいところなんですが、やっぱり「賛否両論」なんですね。


    今一生さん(以下、今):「どんどん行ったらいい」と「できれば行った方がいい」を合わせると8割は超えるので、全体としてポジティブに捉えられている印象はあります。とはいえ子どもと旅行に行くと、当事者にも、社会にも不安がいろいろあって、多様な意見も出てくるようで。


    藤岡:現実的には風当たりが強い場面も多いようですね。


    今:2018年は9月に北海道で震度7の大きな地震がありました。この時、旅行をしていた赤ちゃん連れのママが千歳空港でお湯がなくミルクを作れずに困っているという報道があったのですが、ネットニュースのコメント欄には、


    「母親のワガママ」


    「記憶にも残らないし、赤ちゃんに旅は迷惑なだけ」


    「私だって、子どもが小さい頃は観光はガマンしていた」


    などなど、厳しい意見が相次いで書き込まれました。


    藤岡:千歳空港の一件は、旅行関係者の間でも話題になりました。「旅育」への関心が高まっていながら、批判的な状況もある。子どもを連れての旅行の是非論、気になるところです。


    ――ここで藤岡さんの呼び掛けに応じて、旅育をススメる旅行会社「たびえもん」代表の木舟周作さんと、「親子の旅育メソッド」を提唱する旅行ジャーナリストの村田和子さんがステージに登場しました。


    海外旅行で子どもは育つ!「旅育」は親子の人生を豊かにします

    木舟周作さん(以下、木舟):旅行会社「たびえもん」を経営しています、木舟と申します。


    まだ独身だった20代の頃に、自転車で世界一周旅行をしました。それで2年半ぶりに日本に帰ってきた時に、非常にショックを受けました。


    外国だと、自転車で走っていると子どもたちが追いかけてきたり、それこそ石を投げてきたりだとか、ものすごくガツガツ来るんですけれども(笑)そういう「元気」を全然感じないな、と。


    その後、結婚して父親になって、自分が経験してきた旅のチカラを次世代にも伝えてゆきたいな、と。そう考えたのが「旅育」を始めたきっかけです。


    今日は3児(小6男子、小4女子、小1女子)のパパの立場と、長年旅行業界で働いている旅のプロの立場から「旅する“おっぱい”オッケーだよ!」というお話をしたいと思います。


    「旅する“おっぱい”オッケーだよ!」機内授乳を周りはどう見ている?

    木舟:まず「飛行機での授乳について」の、アンケート結果からご紹介しましょう。


    DeNAトラベルが実施した「機内座席での母乳授乳についてどう思いますか?」というアンケートによると、5つの選択肢「気にならない」「少々気になるがしょうがない」「できれば止めてほしい」「許せない」「どちらとも言えない」のうち、4~5割超の人が「気にならない」、35%の人が「少々気になるがしょうがない」と回答しています。


    4~5割超、という言い方をしているのは、3歳未満の子連れ旅行経験の有無によって、経験アリの方は50%超、経験ナシの方は約44%と回答に若干の差があるからなのですが。


    いずれにせよ約8割の人が「旅する“おっぱい”オッケーだよ!」と言っているのが分かりますね。


    「赤ちゃん連れの旅は『自由』だ」&「子連れ旅行は『親のエゴ』でOK」

    木舟:周りの方が「旅する“おっぱい”オッケーだよ!」と比較的肯定的に捉えてくれていることを踏まえたうえで。お伝えしたいことが2つ、ございます。


    「赤ちゃん連れの旅は『自由』だ」その1

    子連れの旅で最も気を付けなければならないのは「迷子」と「交通事故」ですが、赤ちゃんは歩き回ることがないので、その心配がありません!


    「赤ちゃん連れの旅は『自由』だ」その2

    寝ている時間が長いので、昼間、意外と長い時間、パパもママも好きに観光して回ることができます!


    「赤ちゃん連れの旅は『自由』だ」その3

    体重が軽いので、段差だったり階段だったりありますが、割と移動するのが楽、というメリットがあります!赤ちゃん連れの方は3~4歳になったら実感すると思います、その頃になると、子どもが寝ちゃったら大きくて重くて大変なので(笑)


    「赤ちゃん連れの旅は『自由』だ」その4

    特に外国では、食事が子どもの口に合うかなぁという心配がありますが、赤ちゃんのうちは母乳やミルクだけなので、その心配もありません!


    「赤ちゃん連れの旅は『自由』だ」その5

    ご存じの方も多いと思いますが、0~1歳のうちは旅行代金も安い!そのため、赤ちゃんのうちに海外旅行デビューをするというケースも実際には多くあります。


    2歳を過ぎてくると、赤ちゃん連れ旅のメリットに替わって、外国であることを子ども自身が理解して、言葉だったり、表情だったりが、どんどん豊かになり、親子の旅がますます楽しくなってきます。


    「子連れ旅行」については、先ほどのバッシングの話にもあったように・・・


  • 「将来の記憶に残らない」

  • 「親の自己満足じゃないか」

  • 「騒がしくて周囲に迷惑」


  • ・・・こういった、マイナスの意見を耳にすることも多いと思いますが「子連れ旅行は『親のエゴ』でOK」なんです。今日のポイントの2つ目として、そのお話もさせてください。


    「子連れ旅行は『親のエゴ』でOK」その1

    たとえ記憶に残らなくても、初めて見る景色、初めて感じる体験は成長の糧になる、と思いませんか。


    私のオススメは、旅行の記念写真を、ぜひプリントアウトして家に飾ってみてください。家族写真が多いほど、家族の仲がよい、というデータもございます。


    画像素材サイトで知られるPIXTAが2016年に「あなたは家族仲が良いと思いますか?」という問いに対する答えと「家族全員が映っている写真撮影回数」との相関を調査したところ、撮影回数が0回の場合は「大変そう思う」が1割超、「そう思う」が6割弱で「家族仲がよい」と感じている人がおよそ7割だったのに対し、1~4回の場合はそれぞれ3割弱、6割超で計91%、5回以上の場合はそれぞれ4割弱、6割弱で計95.6%を記録しているんです。


    特に子どもにとっては、飾られている家族写真を目にするたびに「パパやママに愛されて育ったんだなぁ」と自然と感じられ「自己肯定感」がアップする、という風にもいわれています。


    「子連れ旅行は『親のエゴ』でOK」その2

    仕事柄よく聞かれる質問で「子連れ旅行、オススメはどこですか?」というのがあるんですが、私の答えはいつも決まっています。


    「親の行きたいところへ行きましょう」


    海が好きであればビーチリゾート、街歩き、世界遺産めぐりをしたいのであれば、それもOKです。特に子どもが小さいうちは、仕事や育児のストレスから、ママが解放されてリフレッシュ!これでOKだと思います。


    いずれ、子どもは大きくなります。年齢に応じて、その時にしか楽しめない旅をしていただけたらいいのではないでしょうか。


    「子連れ旅行は『親のエゴ』でOK」その3

    「エゴでOK!」とは言いつつも、やはり「マナー」は守っていただく必要があるのかな、と。


    僕自身、子どもと一緒に外出して「これ失敗したなぁ」と思うことも多々あります。


    ただ、旅行は、異なる人、異なる価値観に出会えるのが魅力です。失敗を恐れず、旅することを通じて、親も子も成長していけたらいいなぁと思います。


    最後にコチラは、イギリスのロンドンの写真なんですが・・・


    木舟:みんな子連れで、おでかけを楽しんでいるのが分かると思います。


    「旅育」は、世界のスタンダードといえるのではないでしょうか。



    「旅育メソッド」してみませんか?「旅育」は子どもの「生きる力」を育みます

    村田和子さん(以下、村田):旅行ジャーナリストの村田和子と申します。私は「旅で人・地域・社会を元気にする」をモットーに活動しておりまして、子どもが赤ちゃんの時から旅をし、実体験から情報発信をしています。


    うちの息子はすでに高校生ですが、あらためて過去の旅が、子どもの「生きる力」につながっていると感じております。


    今日は自身の活動と、自分の家族旅行を振り返りながら、家族旅行の魅力をお話してゆきたいと思います。


    「親子の旅育メソッド」ができたワケ

    村田:私が息子と家族旅行に出たのは、生後4カ月の時。1泊2日の温泉旅行でした。この時は、ママが主役。自分自身、育児疲れをすごく感じていて、それを解消するための旅でした。


    とはいえ当時2001年というのは、赤ちゃんだけでなく幼児連れの旅も認知されていませんし、環境も、サービスも、情報も、SNSもスマホもない時代なので、大変な思いをして計画して、準備をして旅立ったのをいまでもよく覚えています。


    ただ、行ってみると、家事や仕事から解放され、1泊2日ですごく、時間と気持ちの余裕ができて、子どもとしっかり向き合えたんです。


    しかも帰ってからも、笑顔で子育てができた。そういう成功体験を積むことができたんですね。


    当時ちょうど「産後うつ」が社会問題にもなっていて、私のように旅へ出て元気になれるママもいるんじゃないか、と。


    でもこの状況ではなかなか旅に出にくいということで、旅行ジャーナリストとして、ママの旅行の必要性や環境整備を業界にお伝えしたり、実体験を通して、ママには赤ちゃんと旅をするノウハウを伝えてまいりました。


    それがどう「旅育」につながるかというと・・・。最初は自分自身の旅だったんですけれども、子どもが1歳を過ぎてくると、いろんなものに興味を示して、表情が豊かになってくるんですね。


    やはり親としては子どもの笑顔が見たいんで、試行錯誤しているうちに「旅って本当に、子どもの学びにいいなぁ」と実感しまして。自然な流れで「旅育」を意識するようになりました。


    もちろん子どもの成長とともに、必要なことは変わってくるので、都度、母親として、旅行の専門家として「旅を通じて子どもを成長させるってどういうことかな」「どんな心がけや声がけをしたら学びのモチベーションが上がるかな」と考えながら旅してきまして、2013年(子どもが小学校6年生の時)に「親子の旅育メソッド」を発表しました。


    ことし(2018年)念願の書籍も出して、そちらで詳細もご紹介しています。


    どうしていま「旅育」なのか?

    村田:いまの時代、共働きが増加し、核家族化が進み、地域との交流が減少しています。子どもの世界って「グローバル化」がこれだけ言われているのに、すごく狭い世界なんですね。


    周りにいる大人って、パパ、ママ、学校、保育園・幼稚園の先生、あとお友だちのお父さん・お母さんくらい。かなり偏った価値観の中で子どもが生活しているということを親は認識する必要があると思います。


    私も子育てをして気付いたんですけれども、実は子どもって、自分の日常がずっと続いていて、社会のすべてだと思いがちなんですね。そうすると小さいつまづきが大事(おおごと)になったり、なかなか乗り越えられなかったりもする。


    意識して外の世界に触れる、旅に出る、世界は広い、いろんな価値観があって、いろんな人がいていいんだよっていうことを理解させる意味でも「出かける」というのは重要なのではないでしょうか。


    ほかにもいま「情報化」とか「変化の時代」ということで、どう子育てするかって難しいと思うんですけれども。旅に出ると「百聞は一見に如かず」を実感したり、あとアクシデントも旅のつきものなので、そこで変化に対応して乗り越えるタフさなんかも身につきますね。


    「旅育」には時間とお金が必要?家族旅行で大事なことは?

    村田:「旅育」の話をすると必ず「時間とお金がかかる、難しいよね」と言われるんですけれども、私自身は、家族旅行というのは「どこへ行くか」よりも「何をするか」がすごく大事だと思っています。


    特に未就学のお子さんの場合は近場、電車で2~3駅でも非日常の世界。ぜひ身近なところから「旅育」を始めていただければと思います。


    環境整備も急ピッチ!ベビー休憩室やオムツ替え設備、アレルギー対応も拡大中

    村田:「近場よりもうちょっと遠くまで旅をしたいな」という方には、いまほんと私がうらやましいと思うくらいに「赤ちゃん旅」を応援する設備が整っていまして。サービスエリアにも、こんなかわいいベビー休憩室があったりするんです。


    村田:授乳と一緒に問題になるオムツ替えですが、いま首都圏のSAでは女性トイレのすべて、それから男性トイレの8割にオムツ替えの台があるそうです。


    赤ちゃん向けの客室というのも増えてきていますし、無料の離乳食や、短時間の託児があるところも増えています。


    もうちょっと踏み込んだところだと、お子様連れ専用の新幹線だとか、ハワイ行きのお子様連れ専用ジェットとか。


    アレルギーのあるお子さんも多いと思うんですが、そういった対応旅行というのも増えていて、行く気になれば行ける環境は整ってきています。


    「赤ちゃん連れ旅」はもう珍しくない!経験者増が「旅育」ブームに

    村田:「赤ちゃん連れ旅」って実際に増加もしていて、ドコモ・ヘルスケア株式会社の調査によれば、回答者の半分以上が経験していたとか。さらに経験者の6割が生後7カ月までに旅に出ているということで、これは計算すると4人にひとりが生後7カ月までに旅に出ているんですね。


    そうすると私と同じように、自分のために旅に出たんだけれども、自然と「旅育」につながってくる、それがいまの「旅育」ブームになっているんじゃないかなぁと。


    まとめになりますけれども、家族旅行というのは単なるレジャーではなくて「親子の絆を深め、子どもの力を育み、親御さんの心身のメンテナンスをする場」だと思っています。


    最後に親御さんにアドバイスなんですけれども、振り返った時に、子どもの成長ってものすごい早いんですね。


    これから、お子さんを見ている時に「こんなことを体験させたい!」「こんなことを一緒にしたい!」ということがあると思うんですけれども、時間がたつと全然、興味関心も変わってしまうので。ぜひ「思った時が行き時」ですので、タイミングを逃さず、旅に出てほしいと思います。


    ――「赤ちゃん連れ旅」を取り巻く社会の現状と「旅育」の利点が一通り語られたところで。


    「親のエゴでOK」なんて言っても「子ども」とりわけ「赤ちゃん」にとってはどうなの?ママが乳幼児を連れて旅をする行為は、そうはいっても許されざる「ワガママ」なんじゃないの?


    そんな疑問で会場がザワザワし始めたのに応えるように、乳幼児教育と保護者支援を進める玉川大学教授の大豆生田啓友先生と、母乳育児支援で知られる産婦人科医の村上麻里先生が登壇され、専門家による講演が始まりました。


    「子育て」するのに大事なことって何だろう? そこから考えてみよう

    大豆生田啓友先生(以下、大豆生田):大豆生田っていいます。3人の子どもの親でもありますけれども、玉川大学というところで、幼稚園教諭や保育士になる人たちの養成をしております。


    「正しさ幻想」に追い詰められる頑張り屋のママたち、でも本当に大事なのは?

    大豆生田:いま、苦しい!辛い!と感じているママが多いですよね。そしてそのしんどさが、あまりにも理解されていない。


    ママたちがなぜこんなに苦しいのかを考えてみると、いろんな理由や背景があります。


  • ママがこんなに、ひとりで頑張らなきゃいけないこと

  • 外に出ると、こんなに周りからの目を気にしなきゃいけないこと

  • 情報があふれ回っていること


  • なんか、多くのママたちが、いまはネットがいっぱい情報をくれるから、子育てってうまくいくように思う、けど、逆なんですよね。


    「正しい子育て」とか「子育てのNGワード!」とか。ほかにも「3歳までにこんな風にやらないと子どもは育たない」とか・・・そんなの、研究者的にはあり得ませんよ。


    でも「あり得ないこと」が、すごくママたちの中にあふれ返っている。


    大豆生田:そうしたら今回『AERA』(2018年10月29日号)が特集を組んでくれました。


    子育ての「正しさ幻想」ってことを、私はずっと言っています。


    「正しく子育てしなきゃいけない」・・・子どもを褒めて褒めて褒めて、いっつも向き合って育てましょう、とか、無理ですから(笑)


    私の問題意識は、まずそこにあるということです。


    フィンランドの研究で、実は乳幼児期に、親がどういう風に子どもに接することが大事かっていったら「機嫌よくいればそれでいい」。これが子どもにプラスの影響を与えるということが、分かってきています。


    フィンランドがなぜ、子育て支援について「産前産後」から力を入れているかといえば、これはそういう研究のデータに基づいています。


    意外と子育てって「親が機嫌よい」ってことが、ものすごい大事だったりするんですね。


    注目の「非認知能力」!子どもの心や社会性などを育てるには?

    大豆生田:また親をやっていると、早くからいろんな能力を育てなきゃいけないと思いがち、焦りがちだけど、むしろ大事なことはそこではないってことが、最近は世界的な研究で分かってきています。


    心や社会性など、昔から大切とされてきたことが、実は生涯にわたる影響をもたらすんですね。


    IQなどで測れる「認知能力」に対して「非認知能力」ともいわれて最近、大変注目されているチカラですけれども。


    例えば「意欲」。いろんなことについて「おもしろーいっ!」って思ったりすること。


    例えば「自尊心」。「ま、自分のやり方でいっかも!」と思えること。


    いろんなことに「ワクワクする」だけじゃなくて、それを「夢中になってやり遂げること」や、それから「人と関わる経験」などなど。


    そう考えると、いまの子育てって、どちらかっていうと「密室育児」になりがちですから、むしろ「外へ連れ出す」っていうことは、とても大事なことかなっという風に思っています。


    「旅育」が成長にもたらす影響とは?注意点にも気を配って!

    大豆生田:最後に、では「旅育」ってことをどう考えたらいいかということをお話します。


    大豆生田:このように考えてみると、我が家もそうでしたけれども、家族で外に出るってすごく大事です。いまでも、小さな頃から子どもたちとあちこち行ったことは、家族の重要な記憶として残っています。


    3歳までの記憶は、どうせ残らない。でも「残らない」っていうのは「思い返せない」という意味で、正確には「残らないという意味ではない」。楽しかった記憶というのは、もしかすると後々まで、いい影響をもたらすかもしれない。


    そう考えると、外に出向いていくってことは、とてもいいことだなぁと思います。


    っていうか「旅育しましょう」って言うとまた「ねばならぬ」になってくるので、まぁ好きにやったらいいワケですよ(笑)


    そういう意味でいえば、さっき「親のエゴ」ってありましたけど、親が「自分たちが楽しんじゃおう」って、大事なことだと思います。


    でも私、子どもの専門家でもありますから、そっちからも少し発言をすると、特に、いま「赤ちゃん研究」、すごく進んでいます。「赤ちゃんが赤ちゃんでない」ということが分かっています。意味が分からないかもしれませんけど(笑)


    つまり、あの人たちは、かなりいろいろなことが分かっている、ということです。だから逆をいうと、一人前扱いすることがすごく大事ということもいわれています。


    大豆生田:ただし、ひとつ言わなきゃいけないのは、赤ちゃんは情報をたくさん取り入れます。だから、たくさんの情報を、一気にたくさん与えることはまずい。フラッシュカードのようなものがなぜまずいかっていえば、それは、たくさんの情報を一気に与えられれば、赤ちゃんがすごく混乱するから、です。


    だから旅行なんかも、たくさんの情報が一気に入ってくるので、当然、親にとっての大事さだけではなくて、子ども目線も大事になってきます。


    ただ、いまの社会はそのことにデリケートになり過ぎ、ともいえるかもしれません。昔の子育ては、もっと子どもを「放し飼い」にできました。子どもをその辺にほったらかしておいてよかったわけです。


    いまはやっぱり、みんながすごく心配にならざるを得ない社会になっている。みんながピリピリして・・・でもそこまでピリピリしなくても、子どもはもっとたくましく生きているんですよ、ということも併せてお伝えしておきたいですね。


    家族の小さい頃、別に海外でなくてもいいんです、もう、近場でだっていい。どこかに出向いていくってことは、子どもにとっても、家族にとっても、素敵なことです。


    うちの子たちももう大きいですけれども、後々まで、いつまでもいい記憶になっていると思っていますし、いいものをもたらしてくれているに違いありません。


    おっぱいマニア産婦人科医が語る「産後うつ」そして「人類と旅」

    村上麻里先生(以下、村上):皆様、こんにちは。産婦人科医の村上麻里と申します。


    私は3人の子への母乳育児体験と、【母乳110番】顧問等もしている関係でママたちの悩みを聞くことが多いものですから、そういう経験から、母乳育児支援というのが仕事の主なパートになっております。


    今回は産婦人科医として、ちょっと違った角度から、産後のお母さんの精神的な面、あと後半は、旅することをもう一度見直してみようというお話をしようと思っています。


    産後1年までの死亡原因は「自殺」が最多!

    村上:マスコミ各社が2018年9月「成育医療研究センターが2014~2016年における産後1年までの死亡原因を調べたところ『自殺』が一番多かった」というニュースを報じました。


    「自殺」が、妊娠中と産後も含めると100人、産後は92人いるんですね。


    しかも海外に比べて、妊産婦の死亡は少ないんですが、日本は産後、自殺する方が非常に多いというデータもあります。


    「産後うつ」はいま10人にひとりくらいがかかり、そんなに特別なことではありません。育児不安やストレス、過去の「うつ」の経験、妊娠中の不安が要因になったり、あとサポート不足も原因になっているんじゃないか、という取り上げられ方をしています。


    細かいデータを探したのですが、ちょっとぴったりするものがなかったので、これは東京23区の2005~2014年、10年間の妊産婦の異常死についてのデータです。


    村上:出生数と比例したカーブを描いているんですが、注目してほしいのが、30代の方にピークが来ていること、出生数は20代後半~30代前半にピークが来ているんですけれども、自殺した例はそれより後にピークがきているんですね。


    あと、ほかの国と比べて、なのですが。


    村上:妊産婦の死亡率、イギリス3.7、スウェーデン4.7、日本は出生10万体あたり3.96、優秀ですよね。


    それに比べて、自殺率を示す赤字の値の違い。どうしてなんだろう、と思っちゃいますよね。


    女性は「うつ」になりやすい。男性の2倍だそうです。どうしてかというと、よく言われるのが、女性は社会的にいろいろ厳しい立場にあるとか、環境に影響されやすい。


    あと、女性ホルモン、エストロゲンが低下する時期というのは、たしかに「うつ」になりやすい時期です。産後は特に分かりやすいです。あとは更年期もそうですね。


    でも、私が今日、それ以外に言いたいのは「栄養」なんです。特に「鉄」が足りない。これが「うつ状態」を引き起こす、大きな原因なんじゃないか。


    どうしてか?というと、生理が多すぎる。毎月毎月の生理がどれだけ違うかというと、表のオレンジ色のところが月経のある期間なんですね。


    村上:昔は、生理が始まって、18歳くらいで産み始めて、4~5人産みます。うちの父方のおばあちゃんは11人くらい産んでますが、だからほとんど生理がないんですよね。


    いまは初潮ももうちょっと早いし、出産も、ここでの例は20代後半でひとり産んでらっしゃいますけど、30代で産む方だってざらにいます。月経がある時期がものすごく長くて、生涯、一生のうちの月経回数が昔は50回だったのが450回、9倍くらいになっちゃってます。


    それで昭和22年と現代を比べてみて、どれだけの鉄が失われるかというと、生涯で、昭和22年当時の女性は「4g」。


    1回の出産で500mgの鉄が失われます。それから1回の生理で30mgの鉄が失われます。生理1回あたりは少ないようですけれども、これが450回もきたら、鉄がトータルで「14g」も取られちゃうんですよ。大変な鉄不足です。


    ところが、ですね。外来でクリニックに来るお嬢さん、あともうちょっと年配の奥様も、みんな「昔から貧血なんですぅ」って自慢されるんですね、貧血なんて自慢している場合ではないです。


    「うつ」になっちゃいます。


    本当の「うつ病」なのか、それとも鉄不足による「うつ状態」なのか、症状は一緒なので区別はつかないんですよね。なので、そうならないために、早くから鉄を取って、妊活にはまず鉄を取れと。妊娠中も産後も、しっかり鉄を取っておけ。それが大事なんです。


    一般的な貧血の検査はヘモグロビンの値でみるんですけれども、ヘモグロビンが下がってくるのには、鉄の貯金にあたるフェリチンという物質がそこまで下がってきて初めて、ヘモグロビンが下がってきます。減る順番は、貯金(フェリチン)が減って、貯金が底をつくと、お財布の中の現金(ヘモグロビン)がなくなってくる、という順番ですね。


    なので、ヘモグロビンが正常でも、すでに貯金が目減りしている人がすごく多いんです。


    村上:鉄が少ないと「うつ」になるという理由を分かりやすく説明すると、ドーパミンとかセロトニンとか、大事そうな神経伝達物質がたくさんあります。あと睡眠に関わるメラトニン、これらを作るのには、タンパク質からいろいろな酵素を経て作られるんですが、そこに鉄が絶対に関わってきます。鉄が少ないと、この経路がうまく動きません。


    特に産後の栄養で「いいおっぱいを出すにはお肉なんか食べちゃダメ、油を抜かないとダメ」というような指導が、いまだにされているんですけれども、炭水化物が多過ぎて脂肪が少なすぎるというのは、これも「うつ状態」につながる栄養不足を招きます。


    炭水化物が多過ぎると、血糖値が上がったり下がったりして、上がった時は一瞬楽しいんですけれども、下がった時の落ち込みようといったら、本当に気持ちが落ち込んでしまう方も、なかにはいらっしゃいます。


    それから、甘いものをたくさん取りすぎると、腸内細菌のバランスが多少変わってですね、腸内細菌の変動によって、気持ちが変動するというのも最近知られています。


    あとは“愛情ホルモン”とか“信頼を高めるホルモン”とかいわれるオキシトシン。これは炭水化物だけ取った時よりも、タンパク質、脂質を取った方が放出が活性化される、というデータも最近の研究ではあるそうです。


    なので、産後の栄養、それから精神的な問題を含めて、皆さん、鉄を取りましょう。動物性のタンパク質から取る鉄が、一番吸収率がよろしいです。


    妊活、それから妊娠中、産後も鉄を取って、鉄不足による「うつ状態」を防ぐっていうのは、病院に行かなくても、自分で、健康に、心がけてできることですよね。これを聞いてほしいと思ってお話しました。


    人類史から考える「旅」

    村上:後半では、人類史から「旅」を考えてみたいと思います。


    人間って、もともとサルのようなものから、チンパンジーと分かれたのが700万年前から500万年前くらい。そこからだんだん進化していって、ホモサピエンスになったのがようやく20万年前くらいだそうなんです。


    途中で絶滅してしまった種族もいくつかはあるんですけれども、だんだん増えてきて、700万年ずーっと進化し続けて、アフリカからヨーロッパ、アジアの方へ広がっていった、という歴史がありますよね。


    何の話をしたいかというと、700万年前から、どうやって暮らしていたかということなんです。


    つい最近、私たちは定住生活、米とか小麦を作って生活をし始めたワケですけれども、それは700万年の歴史から見たらほんのちょっとの時間なんですよね。


    つまりそれまでは、700万年の時間ずーっと、移動して暮らしてきた生き物です。


    どんな感じで暮らしていたかというと、大体10人ぐらいの家族的なグループで、ウロウロしていた。この時代の人は、食べ物をその地で得るには、ひとりあたり1㎢必要なんだそうです。


    東京の、山手線に囲まれたエリアが大体65㎢くらい。そうすると大体60人くらいの初期人類が賄われる。


    10人くらいで1グループとして暮らしているとすると、例えば品川の辺りにいて、東京駅の辺りにいて、日暮里の辺りにいて、巣鴨の辺りにいて、新宿の辺りにいて、目黒の辺りにいて・・・この人たちが1日に10km程度ウロウロ動き回って、その辺の昆虫とか果物とか、根っこ掘って何か取ったりとか、そういう生活をずーっと、700万年前からやってきたワケですね。


    そうすると途中で当然、出産もありますので、出産の時はさすがにそんなに動き回らないで、どこか安全な場所で赤ちゃんを産んだと思うんですけれども、でもそこで留まっていれば食べ物もなくなりますから、当然、赤ちゃんを抱っこして“おっぱい”をあげながら「じゃあ次の場所へ行こうか」という生活をおそらくしていたと思うんです。


    村上:それに近い、私たち哺乳類の遺産・記憶として「輸送反応」って聞いたことあるかと思うんですが、ネコやネズミが首の後ろを捕まえると丸まって静かになりますよね。移動中は敵に狙われるといけないので、静かになるんです。丸まって、動かないで、お母さんの邪魔にならないよう小さくなりますよね。


    サルの赤ちゃんなんかだと自分で捕まってくれますけど、人間の赤ちゃんも同じですね。抱っこして動き回ると赤ちゃんが泣き止むというのは、この、むかーし、動き回って、敵から逃げる時に「静かにしてなきゃ」っていう「輸送反応」が残っているからです。


    ちなみに、泣き止ませる時にはやっぱり、大股で、少し早歩きをした方が泣き止みますね。


    村上:最後に・・・アフリカの大地で赤ちゃんを抱っこして“おっぱい”をあげながら、歩いていた初期の人類の姿が、皆さん、見えるでしょうか。ぜひ、見えてほしいです(笑)


    ――村上先生の最後のスライドに、会場からは拍手喝采!


    村上:ところで今日は、初期人類ではありませんが(笑)旅好きのママさんたちも会場にお越しくださっています。客席でおっぱいをあげながら講演を楽しんでいただいていたので、ちょっと壇上へお願いしてお話を聞いてみましょうか。


    ――すると客席から、何人かのママが赤ちゃんを抱いてステージへ歩いてゆくではないですか!


    「エエッ、すぐ横で授乳してたの?」そんな驚きの声が方々から漏れるなか、舞台で「授乳ショー」がスタートしました。


    授乳ショー!旅大好きママが「赤ちゃん連れ旅」実体験を語る

    村上:こちらが、授乳服ブランド・モーハウス名物「授乳ショー」です!


    今日はNHK「ニュースウォッチ9」等に出演されていた気象予報士の井田寛子さんにもゲストで来ていただいてます!


    井田寛子さん:こんにちは、井田寛子です。子どもは11月1日で10カ月です。


    今日のテーマは「赤ちゃん連れの旅」ということなんですけれども、うちの子はもう船も乗ったし、飛行機も乗ったし、新幹線も乗ったし・・・あらゆる手段でいろんなところへ行っています(笑)


    最近は船で片道24時間かかる小笠原諸島へ、日本ではおそらく一番遠いんですけれども、仕事も兼ねて一緒に行ってきました。


    周りの協力も得て、仕事も結構一緒に連れて行くっていう感じで過ごしています。


    村上:赤ちゃんと一緒に仕事に行けるのは、ママにとっても安心ですね。それにしても0歳で小笠原諸島デビューとは、すごい(笑)


    では、ほかのママにも話を聞いてみましょう。


    Aさん:うちは4カ月の時に那須高原へ車で行きました。普段は自然と触れ合う機会がないので、高原の原っぱの上に転がしてみたり(笑)


    周りの方々もかわいがってくれて、非難の目のようなものは感じませんでした。でも同じ月齢の子がいるママ友に旅行の話をしたら「そんなに小さいのに長時間の移動、大丈夫なの?ご飯はどうしたの?」って。


    「車の中で普通に“おっぱい”をあげたよ」って答えたんですけど、行ってみたら特に何の支障もなかったです。いまの月齢だからこそ持ち物も最小限で済んで、食べ物も“おっぱい”だけで済むので、むしろ楽だったと思います。


    Bさん:授乳服のサイドスリットタイプなら1秒で“おっぱい”を飲ませることができて、ずーっと着てます(笑)


    Cさん:うちはいま6カ月ですが、よく電車に乗って出かけてます。旅行は3カ月の時、特急で草津温泉に。産後なかなか、ひとりで湯船にじっくりつかるということがなかったので、リフレッシュできました。


    しばらくは授乳も頻回で「待ったなし」でしたが、授乳服を着ているので電車の中でもササッとあげられて、人知れず赤ちゃんが泣き止んでいるという感じでしたね(笑)


    Dさん:我が家もほぼ毎日、電車に乗って出かけるんですけど、授乳服と、スリング(抱っこひも)で助けられています。2歳になった上の子を一緒に授乳室に連れて行って授乳するっていうようなことができないので、移動中はスリングの中で授乳タイム。授乳服を着ていれば、遠出もできるし、レストランでも安心だし、どこでも授乳していた感じでした。


    村上:「授乳室に行きなさい」ってみんな簡単に言うんですけれども、授乳室だと逆にキョロキョロして飲んでくれなかったり、特に上のお子さんがいると、あんな狭いところに閉じこめられたら、子どもとしてはたまったもんじゃないですよね。


    「気付かれない」というのも、ママや赤ちゃんにとってはもちろん、周りにとってもポイントですね!モデルになってくださったママと赤ちゃん、今日はありがとうございました!


    ――ママ&赤ちゃんモデルに会場から大きな拍手が送られ「授乳ショー」は終了、さてその後は?どうやらいよいよ【全日本おっぱいサミット】恒例「ガチンコ☆ディスカッション」ということのようで・・・


    藤岡:さすがにリアルな体験談を聞いていると「旅育」や「赤ちゃん連れの旅行」というのが、実感として伝わってきましたね。


    いろいろ聞いていると、前向きに取り組めそうな気もしてくるんですが、ただこのテーマを考える時に避けて通れないのが「子連れのマナー」なんじゃないかとも思います。


    アンケートでも観光業関係者から「『宿泊費に子ども料金はないんですか?』と聞かれることもあるが、本音を言えば倍額にしたい」なんて厳しいコメントも寄せられていたようですし、木舟さんからもご講演の中で指摘がありました。


    そこで今日は敢えて、そのあたりもご意見を伺いたいですね。ご出演いただいた4人の方々に「旅育」における、「赤ちゃん連れ」「子連れ」の旅のマナーについてお聞きしてみましょう!


    徹底討論!「子連れ旅」最大の壁“マナー”問題をどうする?

    木舟:僕は旅行会社と一緒にカフェを経営していたことがありまして、店としても「旅育」「子連れ歓迎」を謳っていたので、赤ちゃん連れのお客さん、非常に多かったんですね。


    それはとてもありがたいんですが「子連れ歓迎」と謳っていると、何をしてもOKと勘違いされてしまうようなケースが出てくる。例えば物を壊すとか、子どもが土足でテーブルに乗って踊っちゃって、ママが下ろしてくれないとか。


    あるいはメニューブックみたいなものをかじる。自分のスマホがかじられたら、そういうママだってすぐ取り上げるんですよね。でも店の物だったら「放っておいてもいいや」って。


    そういうのが時々あって、どうしても悪目立ちをする。そうすると、やはりビジネスでやっていると、ちょっと厳しくならざるを得ません。


    世間の目もそうやって厳しくなって、批判的な意見も出てきちゃうんじゃないかなぁと。


    村田:私は子連れ旅行が一般的ではない時から、すごい厳しい目の中で旅をしてきました。やっぱりマナー良く旅をしないと、次の世代が旅へ行けないっていう思いがありましたね。


    こういう仕事をしていると、宿の方からお話を聞くことがあるんですけれども「赤ちゃん連れはいいんだ、すごくすまなそうにやってくる」とおっしゃるんですね。


    でも「幼児になると、なぜか子どもは騒いで当たり前っていう感覚でお父さんお母さんが来るから問題になる」っていうんです。


    すごく難しいと思うんですけど、連れてゆくパパ・ママ、特に幼児さん連れには周りへの気遣い、つまり「もしかしたら迷惑をかけてしまうかもしれない」という意識を持って、その一方で周りの方には「やっぱり子どもは騒いでもしょうがないよね」という優しさを持って、お互いがそういう感覚でやっていければいいのになぁと、そういう風に思っています。


    あと先ほど「旅育メソッド」でもお話したんですけれども、その中に「役割や目標を設定して褒めて成功体験」というのがあります。


    幼児さんとかは電車の中などで騒ぐのが心配というんですけれども、言葉が通じるようになってからであれば、事前に「このくらい乗るよ」とか「何して過ごす?」「こうして過ごそうね」っていう風に約束をして、できたら降りた時に「よくできたね」って褒めると、騒いでから何か言うより、親も楽だし、子どももモチベーション高くなるように思って、そういったことも勧めています。


    村上:マナーの問題って「個人差」がすごく大きいので・・・とっても静かにしているお子さんもいれば、走り回って一時もじっとしていない女の子も男の子も、いますよね。そういう「個人差」も含めてある程度、寛容に受け容れてくれるといいなぁなんて思うんですけれども。


    私が個人的に知りたいのは、すっごい動いちゃう子と、そんなに動かない子と、どうやって対処したらいいのか、ということでしょうか。言い聞かせても聞かない子どももいますよね。


    木舟:カフェをしていた時の経験からお話すると、ママ友さん同士で来たりするとどうしても子どもがほったらかしになっちゃうので、子どもが騒いじゃったりした時には「ちょっとお散歩いこうか」というような形で1回外に出ていただいて、また落ち着いたら戻ってくるとかできたらいいんですけどね。


    またシチュエーションによるとは思うんですけれども、パパがいると、パッと外に連れ出してくれるので楽だったりすることがありますね。


    村上:パパ、大事ですよね。大体、パパが連れて歩いていると、多少行儀が悪くても許されるんですよ。パパだと、厳しい目が薄まる。それってありません?


    木舟:私は男女の差のところは分かりませんが、パパの方がピリッとするんじゃないかっていうのはあるかもしれません。我が家でも妻が連れだすと「大変だった」という話は聞くんですけれども、僕が連れて行った時は結構、電車でもおとなしかったりっていうのはたしかにあるかもしれませんね。


    大豆生田:パパが連れ出す時って、やっぱりまだパパたちが育児をやり始めたとはいえ“貴重”な人たちと思われているから、寛容に見てもらえるのかもしれないですね(笑)


    だからこれからは、週末は場合によっては、パパが子どもと2人で旅に出られる社会を目指したらいいのかもしれない。


    しかも、全部自分でセットして。ママが準備するんじゃなくって、それで1泊できるかどうか、ここが大きなポイントでしょうね。


    赤ちゃんのうちはおっぱいがあるから短時間でもいいけど、だんだん、ちょっとずつ延ばしていけるかどうかが、パパとしてどうやって子どもと歩いてゆけるかという時に、重要なところではないかと。


    もちろん家族で行くのもいいんだけれども、パパがひとりで連れ出せるかどうか、ここに大きな差ができるかなって思います。


    村田:私は家族旅行でも「親子別々に過ごす時間をつくりましょう」って常々言っているんですけれども。


    日本人って、家族旅行ってみんなで動かないといけないと思っていて、子どもも買い物に付き合わされるみたいになっちゃうんです。これが別れて過ごしてみると、例えばパパとお子さん、ママはひとりっていう過ごし方をすると、それぞれで楽しい時間を過ごして帰ってきて、会った時に話が、一緒に過ごしている時よりもすごく弾むんですよね。


    藤岡:家族が別々に過ごすということでいえば、海外のリゾートホテルへ行くと、大体キッズルームがあるんですよ。で、日本人はほとんど使っていない。あれ、ほんとにもったいないんですよ。


    見ていると、子どもを預けてお父さんお母さんはプールで泳いでいるんです。それはリゾートホテルの使い方としては非常に正しくて、家族旅行なんだけど子どもは預けて、両親はリフレッシュするためにそこで「リゾートを楽しむ」っていう・・・そういう上手な使い方を、もっとやっていいんじゃないかなとも思うんですよね。


    村上:家族で旅行に行くけれど、ずーっとママが子どもを見ていなければいけないのではない。みんな一緒に過ごすのではないスタイルが選択肢としてあるっていうのは「旅」の可能性を広げますよね。


    私は大豆生田先生がおっしゃっていた「パパがひとりで子どもを見る」、それも「パパが支度もして、セットもして」というのが、重要なキーワードだと思うんですよ。


    自分の子どもが小さい時に「リフレッシュに旅行行こうよ」って誘われても、まず準備をして、行った先ではいいけれども、帰ってきてからの片づけ?子ども3人分?それ私がやるの?と思うと、ほんとに行きたくなかったんですよね・・・今日はそのあたりの工夫なども伺えたらいいなぁと。


    木舟:我が家についていえば、妻から「あなたは何もやってくれなかった」って言われちゃうかもしれないんで、なかなか地雷踏みそうで怖いですけれども(笑)


    ただ僕自身が旅行が好きなので、そのあたりは進んでやっていた方だと思います。


    でも旅行業をしていて割とよく聞くのが、ママが「私は行きたいんだけど夫が乗り気じゃない」「夫が反対するから結局泊まりがけも行けない」という声なんですね。その辺はもうちょっとパパが関わって、ママのストレスを軽減するためにも、もっと積極的に子どもを連れ出してくれたらいいんじゃないかなと思いますね。


    村田:赤ちゃん連れではちょっと難しいんですけれども、お子さんが言葉を理解するようになったら、一緒に荷造りをするといいですよね。「旅先でこんなことするよ、何が必要だっけ?」「泳ぐんだったら水着が必要だね」とか。


    そうすると子どもって、自分が用意したっていう経験から旅へのモチベーションが上がって、旅での学びもすごく多くなるんですね。それで帰ってきてからの後片付けも、そこで褒めると手伝ってくれるっていう流れもできるのかなぁと。


    木舟:子どもはすぐ戦力になりますよね、意外と早く。


    村田:反抗期までは割と、上手に関わると、言葉がけとかですごくやる気を出してくれますね。


    大豆生田:話は少し戻っちゃいますが、さっき村上先生が指摘された「いろんなお子さんがいる」というお話、すごく大事だなぁって思っています。


    大豆生田:特に、動く子たちとかって、どこに行ってもやっぱりすごく、親子が辛い思いをしているんですね。だから、そういうご家族ってどうしてもウチに、ウチに、引きこもらざるを得ない。どうしてもママたちへの目線が厳しいですよね、いろんなところで。


    だからひとつは、寛容さってすごく大事。もう一方で、さっきの、周りに配慮する意見も大事。


    海外がいいなって思うのはそこで、海外って、いろいろ声をかけてくれるんですよね。日本はやっぱり、目線が、ちょっと厳しい。どこへ行っても「マナー」ってことが先に来ちゃう。


    木舟:いま海外の話がちょっと出たんですけれども、海外はよく「子連れに優しい」っていうじゃないですか。でもそれって単に優しいんじゃなくって、ズバズバ干渉してくるんですよね。


    イタリアのベネチアで水上バスに乗っていた時、ちょっと目を離した隙に船が揺れて、子どもが落ちそうになったことがあったんです。結果としては大丈夫だったんですけど、その時、そばに乗っていた若いママに、僕、ものすごい怒られたんです。


    木舟:「あなた、子どもから目を離しちゃダメじゃないの!」って(笑)


    日本で若いママが、同年代のほかの男性を叱りつけることってないじゃないですか。


    これは国民性の違いもあるとは思うけれども、単に甘やかすんじゃなくって、ダメな時はダメって、いい意味で関わっていく。他人だから遠慮するんじゃなくって、やっぱり関わっていくっていうのが非常に大事なんじゃないかなって。


    村田:ママもパパも、勉強になりそうですよね。いろいろな考え方があるんだなって。


    大豆生田:日本の大人たちだって昔はもっと、勝手にその辺で花だって摘んで怒鳴られたりしていただろうし(笑)


    だけどなんか、さも自分はそんなことやってなかったかのように、冷たい、厳しいまなざしを向けちゃうっていうのは・・・やっぱりママや子どもたちにはしんどいだろうなって思いますよね。


    村上:批判をする人は、そんなに行儀のいい子ども時代を過ごしてないですよね?(笑)


    大豆生田:全ッ然、お利口さんにしていたとは思えないですよね?(笑)


    会場を巻き込んだトークセッション&来場者の感想は?

    ――では最後に、来場者と大いに盛り上がった質疑応答と、当日現場で伺った感想をいくつかご紹介しましょう。


    教えて!ジジババ&パパを巻き込むコツ?男性の「産後うつ」?ママだけで子連れ旅できる?

    Q:パパが即戦力にならないとしたら?ほかの家族や友人を頼ってもいいでしょうか

    木舟:いいアイデアです!


    我が家の家族旅行で一番大変だったのは3人とも未就学児の状態で香港に行った時だったんですけど・・・それを反省した後は妻の母、義理の母を連れて行って、祖父母と三世代で旅行しています。


    これをやると何がいいかっていうと、孫とおじいちゃんおばあちゃんの仲が良くなるっていうのもありますし、あとは上の世代の方っていうのは「私が若い頃は旅行なんてしなかったわよ、最近の若い人はねぇ」っていうのがありがちなんですけれども、自分の孫だとそこは態度がコロッと変わるっていうのがあるので(笑)


    巻き込んじゃって、それが拡がってゆけば、年配の層も「子連れ旅行、孫連れ旅行いいわぁ」っていう、全体がそうなっていくといいんじゃないかなって思いますね。


    大豆生田:パパが役に立たないという話ですが(笑)ほかの友人家族とワイワイというのは、すごくいいです。


    「キャンプ」や「バーベキュー」なんかに行くと顕著ですよ。「アラ!うちのパパよりもほかのパパの方が、子どもがみんな集まってるわ」って(笑)


    パパにとって、あんなに刺激を受けることってないです。何家族かで出かけると「ああいう風にやるんだ」って思ったり気付いたりする機会になります。


    男ってライバル心があるから、それだけでもすごく刺激になります。


    木舟:パパの得意分野をうまく盛り込んであげてもいいですよね。アウトドアが好きだったらアウトドア、スポーツが好きだったらスポーツとか、何かしらパパが輝けるものを。男はプライドの塊なので、褒めて伸ばす(笑)


    大豆生田:それにいまのパパ世代は、上の世代にモデルがないから、だからそのモデルを横に求めるというのはすごく大事で、すごくいい視点だと思います。


    Q:パパ業の先輩として言いたい!赤ちゃんの内から母子に寄り添い、父親の役割をもっと認識してみては?

    村上:イクメンの先駆者ともいうべき方から、貴重なアドバイスをありがとうございます。


    小さい頃からどれだけ関わってくれるかというのは、パパとお子さんの関係を深めると思います。また夫婦関係も、大変な時に一緒に乗り越えてくれた“戦友”という風に、強いものになるように思います。


    先ほどのお話にもありましたが、そうやってパパや、おじいちゃんおばあちゃん世代、またお子さんのいないお友だちとかを巻き込んでしまって、何人かのグループで子どもを育てるというのは、初期人類の、10人ぐらいの小さなグループでウロウロしていた、まさにその感じなんだなぁと。


    子育てってひとりではなく、やっぱりたくさんの手がいるものなんですね。


    Q:夫は育児にも積極的、でもひどくイライラしています。男性の「産後うつ」ってあるんでしょうか?

    大豆生田:私はお医者さんという立場ではないですけれども、実はこれ、すごく増えているといわ

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