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<コラム>市中感染拡大の香港、政府の急な方針転換に柔軟に対応する飲食業界

  • 2020年 08月06日 23時00分
  • 提供元:Record China
7月に入って新型コロナ肺炎による市中感染が突如、発生し、拡大の一途の香港。そんな中、香港政府は飲食業界向けに講じた防疫強化措置を、わずか2日で撤回するという波乱があった。

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7月に入って新型コロナ肺炎による市中感染が突如、発生し、拡大の一途の香港。そんな中、香港政府は飲食業界向けに講じた防疫強化措置を、わずか2日で撤回するという波乱があった。

7月に入って新型コロナ肺炎による市中感染が突如、発生し、拡大の一途の香港。そんな中、香港政府は飲食業界向けに講じた防疫強化措置を、わずか2日で撤回するという波乱があった。振り回された格好の飲食店だが、そこで垣間見たのは、苦境の中で臨機応変に、素早く対応する姿だった。



香港は今、最も恐れていた「市中感染」という、感染第三波のまっただ中だ。1月からの中国本土に関連した第一波、欧米などの留学先や渡航先から帰国した市民による、3月中旬からの第二波は、いずれも政府の矢継ぎ早の対策と市民の高い危機意識で、沈静化させていった。



しかし、7月5日に22日ぶりに、渡航歴がない感染者が出ると、状況は一転。飲食店、公共住宅、老人ホーム、医療機関、生鮮品を売る公設市場などで、次々と集団感染が発生。感染経路が不明なケースも多くでている。



感染者は7月の1か月間だけで、1月-6月の感染者数(1206人)を大幅に上回る2067人となった。12日間連続で新たな感染者が100人を超える事態となり、8月3日現在、感染者は累計3590人だ。6月末まで7人だった死者も38人になった。突然始まった市中感染の感染源は、船員や航空関係者など、検疫免除の入境者ではないかと言われている。市民の気の緩みもあったかもしれない。いずれにせよ、香港のような過密都市は、ひとたびウイルスの侵入を許すと、瞬く間に感染が広がることを証明したことになる。



政府は、緩めた措置を戻すとともに、バーや娯楽施設を再び閉鎖した。さらに、バー以外の飲食店に対しても、午後6時から翌日午前5時までは店内での飲食を禁じ、持ち帰りやデリバリーだけにした。その後も感染拡大に歯止めがかからないため、店内飲食を「終日禁止」にする、更に踏み込んだ措置を取ることにした。



波乱は、この「終日禁止」を巡って起きた。施行初日、“昼食難民”が街にあふれたのだ。雨をよけながら、路上にしゃがみ込んだり、階段や道路の段差を椅子替わりにしたりして、現場作業員やサラリーマン、高齢者などが飲食店で買ってきたお弁当を食べた。世界中から美食家が集まる、グルメ天国・香港とは到底思えない光景だった。



外回りや工事現場などで働く人は、オフィスワーカーと違って、屋内に食べる場所がない。連日の真夏日で、「クーラーが効いた店内での昼食は、貴重な休息時間なのに」、「真面目に働く市民に酷い仕打ちだ」と、政府は批判の集中砲火を浴びた。



結局、政府は「終日禁止」を2日間で撤回。1テーブル2人までなどを条件に、午前5時から午後5時59分までは店内飲食も認めると、軌道修正した。



市民も飲食店も、振り回されることになったが、この間の飲食店の対応は早くて柔軟だった。



香港は圧倒的な外食文化だ。約1万6000軒の飲食店があり、朝昼晩の3食を外食で済ませる市民は少なくない。しかも、食に対して貪欲だ。外食を控える市民が増えているなか、「終日禁止」が始まれば、店のさらなる売り上げの減少が予想される。とはいえ、飲食店を台所代わりにしている市民の需要はコロナ禍でも底堅い。飲食店がどんな対応をするのか、興味があった。



果たしてー。持ち帰りに対応できないレストランや採算が合わないと判断した店は、初日から休業を決めた。一方、営業する店の店頭はガラリと変わった。「共にウイルスと闘おう」という政府のキャッチコピー付きで割引表示をしたメニューが店頭に登場した。5割引の目玉メニューを用意する店もあった。持ち帰り用特別メニューを用意したり、スープや飲み物を無料サービスしたりと、各店が独自の戦略で顧客獲得合戦を繰り広げた。短期間でよくここまで準備したと思うほどで、店側の必死さが伝わってきた。



「終日禁止」が撤回され、日中の店内飲食が可能になると、今度は、店内料金とのバランスを考えて、持ち帰りの割引率を見直す店あり、変更せずに継続する店あり。休業していた店も、待ってましたとばかりに日中の営業を再開したのだ。



「厳しいことに変わりはないが、できることからしていくしかない」(飲食店店主)。苦境にさらされている飲食業界が、生き残りをかけて、臨機応変に、スピード感をもってしなやかな対応をしていく有様は、見ていて勇気づけられてくる。ウイルスが蔓延し、先が見えなくなってきている今のような時こそ、こうした前向きなスタンスが必要だと感じた。(了)(野上和月)


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