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神保町を拠点に世界とつながる浮世絵の専門店(Vol.18 原書房)

  • 2020年 10月22日 07時00分
  • 提供元:J-CAST
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神保町のメインストリート、靖国通りに面する赤煉瓦の建物が「原書房」だ。

お店が始まったのは1932(昭和7)年。初めは一般的な古書店を営んでおり、先代から易学や浮世絵を専門とした。天井の高い1階店内では易学、四柱推命、気学、姓名学、風水、占星術、タロットなどの専門書や道具を扱う。国内随一の品揃えで、占いマニアや先生たちに愛されている。


2階は落ち着いた和の雰囲気で、大きな本棚には浮世絵の複製版画や研究書や図録が並ぶ。その品揃えはこちらも国内でナンバー1だ。店内はギャラリーとなっており、額装された美しい浮世絵が飾られている。今回は3代目社長である原敏之さんに、2階の浮世絵フロアについて、お話をうかがった。


アメリカでの経験が窓口を広げるきっかけに

浮世絵のマーケットは世界規模である。原書房でも注文や買い付けは、海を越えて海外との取引も多い。子供の頃から浮世絵を見て育ち、その魅力や商売のおもしろさに惹かれていた原さんは、経験を積むためにアメリカの美術品オークション会社で6年ほど勤め、日本美術部門のスペシャリストとしてキャリアを積んだ。そこでの経験や出会いが原書房の経営に大いに役立っている。


「2001年に帰国してからウェブサイトを整え、海外のお客様にも情報を発信するようにしました。今では世界中からお客さんがいらっしゃいますね。

海外の渡航が難しくなっている今、店に来る観光客やお客さんの数にはかなり影響が出ています。それでもなんとかやっていられるのは、これまで築いてきた基盤があるおかげですね」

コロナ禍の打撃は大きいが、同時にこれまでの努力の成果も実感しているという。


喜びは美しい作品との出会い

「これは頑張って手に入れました」という、自慢の一品を見せてもらった。3枚を使って描かれているのは筋骨隆々な鷺池平九郎が川岸の大蛇と闘う瞬間をダイナミックな構図で描いたものだ。吹き付ける雨風の強さを感じる描写や細かに光る顔料など、1枚にあらゆる技術が詰め込まれており、原さんも唸る美しさだという。


「作者の楊斎延一(ようさい・のぶかず)は、(歌川)国芳や(安藤)広重のようなメジャーな絵師ではないが、このような良い作品を残している。こういった父(会長)も私も初めて見るような、珍しい極美品に出会えた時は1番喜びを感じます」

原さんは、こういった良い品を取り揃える原書房でありたいと話す。


「お客さんの要望に、高い質で幅広く応えたいです。名品なら原書房に!と思っていただけるように」

と、まっすぐ語った。


浮世絵から見る、鮮やかな当時の生活

浮世絵には文化、庶民の生活、風景、あらゆるものが描かれている。思わぬ角度から注文を受けることも少なくはない。


「たとえば食品や、化粧品などが描かれたものをピンポイントで探されているお客様もいらっしゃいます。資料として展示に使われたり、研究のためであったり、さまざまですね」

最近では、若いお客様も多いそうだ。


「本の街神保町にも、浮世絵を扱う店が増えてきている。浮世絵は美術品としても、当時の暮らしを知るヒントとしても価値があるものだと思います。少しでも興味があるものがあれば、それを手がかりにぜひ気に入る浮世絵を探してみてください」

原さんは、そう話す。


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